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ピロリ菌検査が陽性の方

ピロリ菌検査で陽性を指摘されると、「すぐに治療した方がいいのだろうか」「症状がなくても大丈夫なのか」と不安になる方が多いと思います。ピロリ菌は胃の中に住みつく細菌で、長い年月をかけて胃の粘膜に炎症を起こし、萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの原因になることがあります。さらに、将来的な胃がんの発生と関わることも知られているため、陽性を指摘された場合には、そのままにせず一度きちんと相談することが大切です。

一方で、ピロリ菌が陽性だからといって、すべての方に強い症状があるわけではありません。胃の痛みや胃もたれ、胸やけがある方もいれば、健康診断や人間ドックではじめて見つかる方もいらっしゃいます。そのため、「症状がないから大丈夫」と考えるのではなく、今の胃の状態を確認し、除菌治療が適しているかを判断していくことが大切です。

ピロリ菌とは

ピロリ菌は、正式にはヘリコバクター・ピロリと呼ばれる細菌です。胃の中は強い酸があるため本来は細菌が住みにくい環境ですが、ピロリ菌は特殊な性質を持っていて、胃の粘膜に長くとどまることができます。感染すると、胃の粘膜に慢性的な炎症が起こりやすくなります。

感染していても必ず症状が出るわけではありませんが、長い間感染が続くことで胃の粘膜が傷つき、胃炎や潰瘍、胃がんの発生に関わることがあります。だからこそ、陽性を指摘された段階で、今後どうするかを一緒に考えることが大切です。

ピロリ菌検査を保険診療で行う条件

ピロリ菌検査を保険診療で行うためには胃カメラを行い胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫と診断されていることが必要になります。胃カメラを行わないでピロリ菌検査を行う場合、自費診療(10割負担)になります。

ピロリ菌検査が陽性の方にみられる症状

ピロリ菌感染があっても、まったく症状がない方は少なくありません。一方で、胃痛・胃もたれなどの胃の不調を訴える方もいらっしゃいます。

すべてがピロリ菌だけで説明できるわけではありません。逆流性食道炎や機能性ディスペプシアなど、別の病気が関係していることもあります。そのため、陽性を指摘されたら、まずは胃の状態を丁寧に確認することが大切です。

ピロリ菌陽性で考えられる病気

萎縮性胃炎

ピロリ菌感染で最もよくみられるのが慢性胃炎です。胃の粘膜に炎症が長く続く状態で、症状がはっきりしないこともあります。胃カメラでは、胃の粘膜の赤みや萎縮が確認されることがあります。

胃潰瘍

胃の粘膜に深い傷ができる病気です。みぞおちの痛みや胃の不快感、吐き気などの原因になります。出血を伴うと黒っぽい便が出ることもあります。

十二指腸潰瘍

胃の出口に近い十二指腸に傷ができる病気です。空腹時や夜間の痛みとして感じる方もいます。若い方でもみられることがあります。

胃がん

ピロリ菌感染は、胃がんの重要なリスク因子のひとつと考えられています。ここでいうリスク因子とは、病気が起こりやすくなる要素のことです。もちろん、陽性の方が必ず胃がんになるわけではありませんが、将来的なリスクを下げる意味でも除菌治療を検討することが大切です。

ピロリ菌関連ディスペプシア

ピロリ菌の感染が原因で胃もたれや胃の痛みなどの不快な症状が引き起こされる状態のことをいいます。

MALTリンパ腫

ピロリ菌により誘発されて起こる血液系の悪性腫瘍です。

免疫性血小板減少症(ITP)

以前は特発性血小板減少性紫斑病と言われていた病気です。免疫の異常で血小板が減る病気です。ピロリ菌により誘発されることがあります。

ピロリ菌の検査について

ピロリ菌の有無を調べる方法はいくつかあります。当院では、状態に応じて適切な検査をご案内しています。

ヘリコバクターピロリ菌抗体

血液でピロリ菌感染の有無を調べる検査です。比較的受けやすい検査ですが、まれに偽陽性、つまり実際には感染していないのに陽性となることがあります。また、以前、ピロリ菌に感染していて除菌治療を受け除菌が成功した方も陽性になることがあります。

便中ヘリコバクターピロリ菌抗原

便を使ってピロリ菌の有無を調べる検査です。感染の評価や、除菌後の判定にも用いられます。

尿素呼気検査

ピロリ菌感染を調べる検査の中でも信頼性が高い検査です。空腹時、つまり朝食を抜いた状態で行います。胃薬を内服中の場合には実施できないことがあるため、事前の確認が大切です。

胃カメラ検査と迅速ウレアーゼ試験

ピロリ菌陽性の方では、胃カメラで胃の粘膜の状態を確認することがとても大切です。慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんの有無などを直接観察できます。当院では、楽に受けられる内視鏡検査を大切にしており、先進的な高画質内視鏡システムやNBIを活用しながら丁寧に観察しています。ピロリ菌感染が疑われる方はその場で迅速ウレアーゼ試験を行います。

培養

ピロリ菌を培養して抗菌薬に対する感受性を見ます。除菌療法を2回失敗した方が対象になります。

ピロリ菌陽性の方の治療法

除菌治療

ピロリ菌陽性で、除菌治療が適していると判断された場合には、抗菌薬と胃酸を抑える薬を組み合わせて治療を行います。一般的には1週間程度の内服治療になります。飲み忘れなく治療を進めることが大切です。

除菌薬の組み合わせは数種類ありますが、保険適応となる組み合わせは決まっており、2回まで保険適応になります。保険適応の組み合わせの薬剤が何らかの理由で内服できない場合や2回とも除菌療法が失敗してしまった場合は自費診療にて個人にあった種類の薬剤を内服します。

除菌後の判定

除菌治療を受けたあとには、本当にピロリ菌がいなくなったかを確認する必要があります。尿素呼気検査や便中抗原検査などで判定します。治療しただけで終わりではなく、結果を確認するところまでが大切です。

胃の状態に応じた追加治療

胃炎や潰瘍、逆流性食道炎などが一緒にみられる場合には、その病気に対する治療も行います。症状や胃カメラの所見に応じて、お薬を調整していきます。

ピロリ菌除菌療法を保険診療で行う条件

胃カメラを行い胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫と診断されていること、かつ、ピロリ菌検査で陽性であることが条件です。

人間ドックでピロリ菌陽性だった場合、もしくは、自費診療でピロリ菌検査を受けて陽性だった場合に胃カメラを行わない場合、治療費およびその後の除菌が成功したかどうかの検査も含めて全て自費診療(10割負担)になります。

人間ドックで胃カメラを行っている場合は胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫との診断がなされている書類が必要です。原則半年以内の検査が望ましいとされています。

ピロリ菌検査が陽性の方についてのよくある質問

Q1. 症状がなくても治療した方がよいですか

A1. 症状がなくても、慢性胃炎や将来的な胃がんのリスク低下を考えて除菌治療を検討することがあります。まずは胃の状態を確認しながら判断することが大切です。

Q2. ピロリ菌陽性なら必ず胃がんになりますか

A2. 必ずなるわけではありません。ただし、胃がんのリスク因子のひとつと考えられているため、陽性を指摘されたら放置せず相談することが大切です。

Q3. 一度除菌すればもう安心ですか

A3.除菌に成功すれば除菌しない場合にくらべて今後積み重なっていく胃がん発生のリスクはなくなりますが、胃の細胞にすでに蓄積してしまった遺伝子異常はなくなりません。また、加齢も胃がんのリスクです。よって、除菌後も定期的な胃カメラが必須になります。定期的な胃カメラを受けることによって早期に胃がんを発見することができ、体に負担の少ない治療を受けることができます。

Q4. 健診で陽性と言われただけでも受診した方がよいですか

A4. はい。症状がなくても、今の胃の状態や治療の必要性を判断するために、一度ご相談いただくことをおすすめします。

院長より

ピロリ菌陽性を指摘されたとき、「今すぐ何かしないといけないのか」「症状がないのに受診してよいのか」と迷われる方は少なくありません。ですが、ピロリ菌は胃の健康を長い目でみたときに、とても大切なポイントになります。萎縮性胃炎や潰瘍の原因になるだけでなく、胃がんとの関わりも知られているため、陽性を指摘された段階で一度きちんと整理しておくことが安心につながります。

あさがお内視鏡・消化器内科クリニックでは、総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医として、ピロリ菌陽性の方の診療に丁寧に取り組んでいます。楽に受けられる胃カメラ検査を大切にしながら、必要な検査と治療をわかりやすくご案内します。

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