便潜血を指摘
健康診断や大腸がん検診で「便潜血陽性」と言われると、驚かれる方が多いと思います。便潜血とは、便の中に目では見えない程度の微量な血液が混じっていないかを調べる検査です。見た目には普通の便でも、腸のどこかから少量の出血があると陽性になることがあります。便潜血陽性と聞くと、すぐに大きな病気を心配される方もいらっしゃいますが、実際には痔などの比較的よくみられる原因で陽性になることもあります。一方で、大腸ポリープや大腸がん、腸の炎症など、きちんと確認しておきたい病気が見つかることもあるため、結果をそのままにしないことが大切です。
便潜血検査は、大腸がんの早期発見に役立つ大切な検査です。ただし、陽性だったから必ず大腸がんというわけではありませんし、陰性だから絶対に安心とも言い切れません。大切なのは、便潜血陽性というサインをきっかけに、必要な精密検査につなげることです。
便潜血とは
便潜血とは、便の中に混じった微量の血液を調べる検査です。「潜血」という言葉は、目に見えない血液という意味です。肉眼で血便がわからなくても、腸のどこかに出血の原因があると反応することがあります。
一般的な大腸がん検診では、2回分の便を提出する方法が広く行われています。これは、出血が毎回同じように起こるとは限らないためです。1回だけでは見つからないことがあるため、2回調べることで精度を高めています。
便潜血検査の大腸がんの検出率は85%前後と言われています。つまり、15%程度は見逃してしまうことには注意が必要です。
便潜血検査は主に進行大腸がんを見つけることを目的とされており、早期大腸がんは見逃される可能性があります。また、大腸がんの大部分は良性のポリープ(大腸腺腫)ががん化することでがんとなりますが、良性ポリープは便潜血検査では陽性にはならないことも多いです。
一方で、便潜血検査は出血を高感度で検出する検査のため、がん以外の病気を発見することもあります。
便潜血を指摘されたときに考えられる原因
便潜血陽性の背景には、さまざまな原因があります。比較的よくみられるものもあれば、慎重に確認したい病気もあります。
痔
切れ痔や出血・痛みを伴う痔など症状を伴う痔の場合は痔が原因である可能性があります。一方で症状のない痔は便潜血検査陽性の原因にはならないという報告があります。痔があるから痔のせいと決めつけるのは危険です。
大腸ポリープ
大腸ポリープは、小さいうちは自覚症状がないことも多いですが、表面がこすれて少量の出血を起こすことがあります。便潜血陽性をきっかけに見つかることが少なくありません。
大腸がん
便潜血検査で見逃したくない病気のひとつです。初期の大腸がんでは痛みがなく、目に見える血便もないまま、便潜血だけが陽性になることがあります。そのため、便潜血陽性は大腸がん検診として大きな意味を持っています。
大腸の炎症
感染性腸炎、潰瘍性大腸炎など、腸に炎症があると出血しやすくなり、便潜血陽性になることがあります。ここでいう潰瘍性大腸炎は、大腸に慢性的な炎症が起こる病気です。下痢や血便、腹痛を伴うこともあります。
そのほかの腸の病気
憩室出血など、大腸のほかの病気が原因になることもあります。年齢や症状、既往歴なども含めて、総合的に判断することが大切です。
便潜血を指摘されたときの検査
便潜血陽性を指摘されたとき、もっとも大切なのは精密検査を受けることです。当院では、患者さまの不安に配慮しながら、必要な検査をわかりやすくご説明しています。
大腸カメラ検査
便潜血陽性の精密検査として、もっとも重要な検査です。大腸の粘膜を直接観察することで、大腸ポリープ、大腸がん、炎症、出血源などを確認できます。当院では、楽に受けられる内視鏡検査を大切にしており、患者さまの苦痛軽減に配慮しながら検査を行っています。
大腸カメラの大きな利点は、見るだけではなく、その場でポリープの切除が検討できることです。もちろん、すべての病変をその場で処置できるわけではありませんが、診断と治療の両方に役立つ検査です。
血液検査
貧血の有無や炎症の程度、全身状態を確認するために行うことがあります。出血が続いている場合には、ヘモグロビンが低下していることがあります。
CTコロノグラフィ
CTで大腸の検査を行います。大腸内視鏡検査(大腸カメラ)よりは苦痛が少ない場合が多い検査です(個人差があります)。一方で、小さいポリープや平べったいポリープなどは大腸カメラに比べ発見が難しい場合もあります。また、組織検査やポリープの治療はできません。
注腸造影
バリウムをお尻から入れて腸の中をみます。大腸カメラよりは苦痛は少ない場合が多い検査です(個人差があります)。
便潜血を指摘されたときの治療法
便潜血陽性そのものに対して治療をするのではなく、原因となっている病気に対して治療を行います。ですので、まずは何が原因かをはっきりさせることが最も大切です。
大腸ポリープが見つかった場合
種類や大きさ、場所によっては、大腸カメラで切除を検討します。ポリープの段階で対応できれば、大腸がんの予防につながることがあります。
大腸がんが疑われる場合
病変の状態を確認し、必要に応じて連携する専門医療機関へご紹介します。早い段階で適切な治療につなげることが大切です。
痔が原因と考えられる場合
軽度の場合は排便コントロールや痔のお薬で対応することがあります。便秘が背景にある場合には、便通を整えることも大切です。重度の場合は肛門外科にて治療します。
炎症性腸疾患が考えられる場合
炎症を抑える治療が必要になります。症状や検査結果に応じて、適切な治療方針をご提案します。
便潜血を指摘されたときのよくある質問
Q1. 便潜血陽性なら大腸がんですか
A1. 必ずしもそうではありません。痔やポリープ、腸の炎症など、さまざまな原因で陽性になります。ただし、大腸がんが隠れている可能性もあるため、精密検査が大切です。
Q2. 痔があるので大腸カメラは受けなくてもよいですか
A2.もともと出血などの症状がある痔を患っているならば痔が原因のこともありますが、痔と大腸の病気が同時にあることもあります。痔があるからといって、大腸カメラが不要とは言えません。
Q3. 1回だけ陽性でも大腸カメラは必要ですか
A3. はい。2回法のうち1回だけ陽性でも、精密検査が勧められます。少量の出血でも大切なサインになることがあります。
Q4. 便潜血陽性でも症状がなければ様子を見てもよいですか
A4. 症状がなくても精密検査をおすすめします。便潜血検査は、無症状の段階で異常を見つけるための検査だからです。
院長より
便潜血陽性を指摘されると、不安でいっぱいになる方もいれば、逆に症状がないため後回しにしてしまう方もいらっしゃいます。ですが、便潜血陽性は、大腸をきちんと調べるきっかけとしてとても大切な結果です。何もなければそれで安心につながりますし、ポリープや早期の病変が見つかれば、早めの対応ができます。
あさがお内視鏡・消化器内科クリニックでは、総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医として、便潜血陽性の方の診療に丁寧に取り組んでいます。楽に受けられる内視鏡検査を大切にしながら、不安をできるだけ減らし、安心して精密検査へ進めるようお手伝いします。
