【シミ取り】ピコレーザー(ピコシュア)のシミへの効果と注意点について【一之江】

鏡を見るたびに気になってしまう「シミ」。 コンシーラーで隠すのも毎日のこととなると大変ですし、「いっそクリニックで取ってしまいたい」と考える方も多いのではないでしょうか。

最近、美容クリニックで主流になりつつあるのが「ピコレーザー(特にピコシュア)」という機械です。「痛くない」「テープがいらない」なんて噂も聞きますが、実際のところ、その効果や経過はどうなのでしょうか。

今回は、最新の臨床研究データをもとに、ピコレーザー(ピコシュア)によるシミ取りの実力について、わかりやすく解説していきます。

ピコレーザー(ピコシュア)は何がすごいの?

これまでシミ治療の主流だった「Qスイッチレーザー」と、最新の「ピコレーザー(ピコシュア)」の違いをご存じでしょうか。

最大の違いは、レーザーを照射する時間の長さ(パルス幅)です。

  • Qスイッチレーザー:ナノ秒(10億分の1秒)
  • ピコレーザー:ピコ秒(1兆分の1秒)

ピコレーザーは、従来の約100分の1という極めて短い時間でレーザーを照射できるようになっています。そのため、シミへの攻撃手段が「熱作用」から「光音響作用(衝撃波)」へと進化したのです。

では、なぜ「熱」より「衝撃波」が優れているのでしょうか。理由は大きく2つあります。

① 色素を「運び出せるサイズ」まで粉砕できるようになった

従来の熱による破壊では、岩のようなシミの色素を「小石」くらいの大きさに割るのが限界でした。 しかし、ピコシュアの強力な衝撃波は、色素を一瞬にして「砂」や「細かい塵」レベルまで粉々に粉砕します。

私たちの体には、不要なゴミを食べて掃除してくれる「マクロファージ(貪食細胞)」という免疫細胞がいます。 ゴミが「小石」サイズだと大きすぎて掃除に時間がかかりますが、「砂」のように細かければ、マクロファージが簡単に食べてリンパ管へ運び出すことができます。 つまり、細かく壊せる分だけ、シミが消えるスピードも早くなり、少ない治療回数で効果が出るようになったのです。

② 周りの皮膚への「飛び火」を防げる

熱を使って破壊する場合、どうしてもターゲットの周囲に熱が広がり、健康な細胞までダメージを受けてしまうリスクがありました。 特に日本人のようなアジア人の肌は、この熱ダメージが刺激となり、逆に「戻りジミ(炎症後色素沈着)」を作ってしまうことが大きな課題でした。

一方、ピコシュアの衝撃波は、熱が発生する前に一瞬で破壊が完了します。 熱が周りにじわじわ広がる暇を与えないため、健康な肌を傷つけずに、シミの色素だけを狙い撃ちできるのです

まとめると、「熱を使わず衝撃波で粉々にする」ことで、

  • より細かく壊れるから、早く消える
  • 周りに熱が広がらないから、肌に優しく戻りジミになりにくい

という、まさに一石二鳥のメリットが生まれたわけですね。

特にピコシュアのもつ「755nm」という波長は、メラニンに対する吸光度は1064nmの約3倍と高いのでメラニンにダメージを与えやすく、ヘモグロビンへの吸収は非常に低いので副作用が出ずらいのが特徴。

このため、血管へのダメージを最小限に抑えつつ、メラニンを選択的に攻撃するのに極めて適したバランスがととのった機械といえるでしょう。

ピコシュア(ピコレーザー)はどんなシミに、どれくらい効くの?

ピコシュア(755nmピコ秒レーザー)は、シミの種類によって効果の出方が異なります。最新の論文データから、その実力を数字で見てみましょう。

① 日光性色素斑(老人性色素斑)・そばかす

一番シミの種類で多いのが、加齢や日光(紫外線)によってメラニンを作る「メラノサイト」が活性化して、メラニン色素が蓄積する「日光性色素斑」ですね。また、「そばかす」とは鼻や頬周辺にできる直径3〜5mm程度の細かい茶色のシミ・斑点のことです。

ピコシュアはこうした「一般的なシミ」に対しては1回の治療でも非常に高い効果を示します

実際、2024年に中国で行われた臨床試験によると、109人の患者(年齢44.17 ± 8.2歳)に対して、シミの部分に755 nmのピコレーザー(ピコシュア)を当てたところ、上図のようにたった1回のレーザー治療で

  • シミのサイズと領域が改善
  • シミになっている部分の数も変化した

と報告しています。同時に、全体的な皮膚の状態が有意に改善したともしていますね。もちろん、1度で必ず普通の肌と元通りになるというわけではありませんが、図をみていただくとわかる通り、かなりシミの状態が改善しているのがわかりますね。

ちなみに、レーザーの有効性は、患者の性別、皮膚の光タイプ、年齢には依存しなかったとしています。

また、Qスイッチレーザーと比較しても、より少ない回数で同等のシミの除去効果が達成できたとしている論文や、532nmのピコレーザーと比較した複数の論文をまとめた論文からは、755nmの方が「血管系副作用が少なく、色素病変に対してわずかながら優位性を示した」としているので、

他の治療と比較しても、755nmのピコレーザーは、一番多いシミである「日光性色素斑」の治療として、非常に有効なの治療方法の1つといえるでしょう。

(参照:Evaluation of the Efficacy of the 755 nm Picosecond Laser in Eliminating Pigmented Skin Lesions after a Single Treatment Based on Photographic Analysis with Polarised Light
(参照:The Efficacy of 532/755 nm Laser Therapy for Facial Pigmented and Vascular Lesions: A Systematic Review and Meta-Analysis

② 後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)は、皮膚の深い層(真皮)にメラニンがあるため、治療が難しいとされるシミですが、755nmのピコレーザーはこうした難しい後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)や太田母斑の治療にも有効であったとする報告があります。

実際、2020年に行われた中国の論文からは、225名の患者さんに対して、755nmのピコレーザーを使用して、回数と共にクリアランス率(どこまでシミが改善したか)を算出しています。

すると、患者さんは1~4回のセッションを受けましたが、90%シミが改善されたとする率は次の通りでした。

  • 1回の場合:8.89%
  • 2回の場合:30.99%
  • 3回の場合:56.65%
  • 4回の場合:60.00%

このように、回数を追うごとに改善する率が高くなるのがわかりますね。確かに、「ADMは1回の治療で治る!」というものではありませんが、回数を重ねることで、難治性のADMに対しても有効な治療法の1つといえるでしょう。

(参照:Use of a Picosecond Alexandrite Laser for Treating Acquired Bilateral Nevus of Ota-Like Macules in Chinese Patients

ピコレーザーのダウンタイムはどのくらい?

みなさんが一番気になるのは、「治療した後、顔がどうなるのか」という点ではないでしょうか。 ピコシュアの経過は、従来のレーザーとは少し異なります。

特徴的なのは、かさぶたの薄さで、以下のような経過をとります。

  1. 治療直後:軽度のむくみや赤みが出ます。日焼けのようなヒリヒリ感がありますが、数時間から24時間以内に治まることがほとんどです。
  2. 翌日~7日目(コーヒー残渣様変化) :ここがポイントです。照射したシミの部分が一時的に黒く濃くなります。 しかし、従来のような分厚いかさぶたにはなりません。「コーヒーの粉」のような、非常に薄いかさぶた(マイクロクラスト)ができます。 薄くて肌にへばりついているため、コンシーラーやファンデーションで隠しやすいのが大きなメリットです。
  3. 1週間~2週間後: 顔の場合、通常5~7日程度で、洗顔などの際に自然に黒い部分が剥がれ落ちます。 剥がれた後は、薄いピンク色の新しい皮膚が現れます。これでシミ取りは一区切りですが、実はここからのケアがとても大切になります。

この「隠しやすい」という点から、「ピコレーザーならテープを貼らなくていい」と聞いて魅力を感じている方も多いのではないでしょうか。 実際、ピコシュアで作られるかさぶたは非常に薄いため、テープ保護を必須とせず、軟膏とメイクだけで対応するクリニックも多いです。これは、仕事などでどうしてもテープを貼れない方にとっては嬉しいですよね。

ただし、アジア人の肌はデリケートなので、洗顔などの摩擦刺激を防ぐために、あえてテープ保護を推奨する場合もいます。「絶対にテープなし」と決めつけず、ご自身のライフスタイルに合わせて、医師・スタッフと相談してみてください。

ピコレーザーのリスクや副反応はあるの?

ピコレーザーはシミをけす夢のような機械に思えますが、リスクがゼロというわけではありません。

もっとも注意すべきは「炎症後色素沈着(戻りジミ)」です。 かさぶたが取れた後、1ヶ月くらい経ってから再び茶色く色が戻ってくる現象です。

ただ、ピコシュアはこのリスクも従来機より低いことがわかっています。 ある研究データの比較では、

  • 従来のQスイッチアレキサンドライトレーザー:発生率 34%
  • ピコ秒アレキサンドライトレーザー(ピコシュア):発生率 26%

と報告されており、ピコシュアの方が発生頻度が低い傾向にありました。しかも、「適切にケアをすれば」発生率をもっと下げることもできるでしょう。その意味で「ピコレーザーを受ければシミは消える」と思わずに、普段のスキンケアをしっかりする方が大切なんですね。

また、稀ですが、強すぎる出力で照射すると「白斑(色が白く抜けてしまう)」になるリスク(約0.38%)がありますので、注意しながら施術を行っています。

ピコレーザーを受ける時に守りたい施術前後の重要ルール

せっかく高いお金を出して治療するのですから、最高の結果を出したいですよね。 そのためには、クリニック任せにするのではなく、ご自身でのケアが非常に重要になります。

施術前の注意

日焼けした肌にレーザーを当てると、火傷や消えないシミの原因になります。治療前4週間は徹底的に日焼けを避けてください。 また、レチノールなどの成分が入った化粧品を使っている場合は、肌が敏感になっているため、3~7日前から使用を中止しましょう。

施術後の注意

照射後72時間は、肌のバリア機能が壊れている「急性炎症期」です。

  • 決してこすらない(洗顔は優しく!)
  • サウナや激しい運動は避ける
  • しっかり冷やす

これらを守ってください。

そして、かさぶたが取れた後のピンク色の肌は、生まれたての赤ちゃんのような状態です。ここで紫外線を浴びると、一発で「戻りジミ」になってしまいます。 SPF30以上、できればSPF50+の日焼け止めを毎日しっかり塗ってくださいね

ピコレーザー(ピコスポット)の費用は?

ピコレーザー(ピコスポット)の費用は以下の通りとなります。

最大径1㎝まで11,000 円
最大径1㎝以上2㎝まで22,000 円
最大径2㎝以上3㎝まで33,000 円
最大径3㎝以上4㎝まで44,000 円

もちろんシミに対する施術はピコスポットだけではありません。いろいろな施術方法があります。ぜひまずは肌診断をうけていただき、一緒にベストなシミ治療を考えていきましょう!

【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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