
ピコスポット照射とは

ピコスポット照射は、特定の目立つシミ、例えば老人性色素斑(日光黒子)やそばかす(雀卵斑)などを、ピンポイントで除去するために設計された最先端のレーザー治療です。
顔全体のトーンアップを目指す治療とは異なり、「このシミを狙って取りたい」という明確な目的を持つ患者様にとって、最も効果的な選択肢の1つとなります。
ピコレーザーの「ピコ」は時間の単位であるピコ秒を指します。1ピコ秒は1兆分の1秒という極めて短い時間であり、ピコレーザーは1ピコ秒単位でレーザーを発射することで、後述するように従来のレーザー治療に比べて、肌のダメージが抑えられつつ、メラニン色素に効率よくダメージを与えるようになっています。
当院では、ピコレーザーとして「ピコシュア」を採用。
ピコシュアは755nmの波長を使用するため、他の1064nmのピコレーザーに比べ、メラニン色素に対する吸光度が3倍と高いのが特徴。そのため、低エネルギーでも非常に効果の高い治療ができます。
ピコレーザー(ピコシュア)と他のレーザーの3つの違い

Point1 薄いシミに効果的
ピコスポット照射の最大の特徴は、その作用機序が従来のレーザーと根本的に異なる点です。
従来のQスイッチレーザーなどの機器は、主に「光熱作用(Photothermal Effect)」を利用します。これは、レーザーの熱エネルギーでシミの原因であるメラニン色素を加熱・変性させて破壊する方法です。
この方法だと、熱エネルギーの刺激でシミ以外の肌にも少なからずダメージが出てきてしまいます。
一方、ピコレーザーは、その極めて短いパルス幅により、熱の発生を最小限に抑え、代わりに「光音響効果(Photoacoustic Effect)」を使います。レーザーエネルギーが瞬時にメラニン色素に吸収されると、色素内で急激な熱膨張が起こり、それが衝撃波(圧力波)となって色素粒子を物理的に粉砕するのです。
この違いは、しばしば「岩」と「砂」に例えられますね。従来のQスイッチレーザーがメラニン色素を「岩」のように比較的大きな塊に砕くのに対し、ピコレーザーはそれを「砂」や「パウダー」のように微細な粒子にまで粉砕します。
ここまで細かく砕かれた色素粒子は、体内の清掃細胞であるマクロファージによって、より効率的かつ速やかに排出されるため、非常に効率よくメラニン色素を除去できるのです。
そのため、従来のレーザーでは反応しにくかった薄いシミのメラニン色素にも反応します。
Point2 低刺激で肌にやさしい治療
一般的なレーザー照射では、発生する熱が周囲の組織に影響を与え、痛みを引き起こすことがあります。一方、ピコレーザーは非常に短いピコ秒単位で照射を行うため、熱によるダメージが最小限に抑えられ、痛みが軽減されるお肌にやさしい施術が実現できます。
Point3 カサブタができにくく、色素沈着のリスクが低減
ピコレーザーは光や熱でメラニン色素を破壊するのではなく、衝撃波のメカニズムでメラニン色素を狙い撃ちに破壊します。その結果、周囲の正常な細胞へのダメージが少なく、施術後の炎症からくる色素沈着やカサブタの発生リスクを大幅に減らす特徴があります。
ピコスポット照射の効果と安全性は折り紙つき

ピコスポット照射はさまざまな論文で検証されている「折り紙つき」の美容施術です。
例えば、2023年に発表された、41件の臨床試験(対象患者3,234名)を統合解析したシステマティック・レビューでは、老人性色素斑(一番多い日光や加齢によるシミ)に対するピコレーザー治療の成功率が67.9%~93.02%であると報告されました。これは、同レビューにおけるQスイッチレーザー(36.36%~76.6%)などを明らかに上回る結果です。
特に、アジア人の肌を対象とした研究では、患者の90%が「中等度から著しい改善」を達成したと評価されています。また、そばかすに対する別の研究では、たった1回の治療で平均74.46%の病変除去率が確認されていますね。
さらに、ピコレーザーは「炎症後色素沈着(PIH)」が少ないことも論文で評価されています。シミの治療のためのダメージによりまたシミを作ってしまっては、堂々巡りになってしまいますよね。ピコレーザーはその心配も非常に低いのです。
実際、2021年中国による論文では、、同じ患者の顔の片側を従来のQスイッチレーザーで、もう片側をピコレーザーで治療しました。その結果、PIHの発生率は、Qスイッチレーザー側で30%だったのに対し、ピコレーザーではわずか5%でした。
もちろんシミの種類によっては、何回か治療を重ねる必要があるものもありますが、一般的なシミに対して非常に効果の高い治療であることは間違いないでしょう。
(参照:Treatment of Solar Lentigines: A Systematic Review of Clinical Trials)
(参照:Treatment of facial and non‐facial lentigines with a 730 nm picosecond titanium: Sapphire laser is safe and effective)
ピコスポット照射がオススメの方

例えば、次のような方はピコスポット照射がオススメです。
- 濃く、輪郭がはっきりしたシミを取りたい方
- 少ない回数で効果を実感したい方
- 従来のレーザー治療で満足できなかった方
- ダウンタイムをなるべく短くしたい方
とにかく肌全体のケアというよりは「このシミをなんとかしてほしい」という方にオススメですね。
ピコスポット照射は医師による施術なので、あらかじめ決められた時間に来院いただき、施術を受けていただきます(15分~30分程度)
ピコスポット照射の注意点
ピコスポット照射は非常に肌の負担も少ない治療方法ですが、以下の注意点があります。
- トレチノイン外用やイソトレチノインを内服使用されている方は、治療前後2週間の使用を控えていただく必要があります。
- 施術時に多少のまぶしさ・痛みを感じることがあります。
- 軽い赤みやヒリヒリ感がありますが、数時間から数日で解消されます。
- シミの部分がかさぶたになることがあります。1週間程度で自然に剥がれるので、無理に剥がさないでください。
- 妊娠中または授乳中の方、重度の敏感肌、強い炎症(例:アトピー、かぶれ等)の部位、炎症した脂漏性皮膚炎、ヘルペス治療中、抗リウマチ剤の金製剤を使用している方、光過敏症の方、ケロイド体質の方、治療部位に金属やペースメーカーなどを埋め込んでいる方は施術をすることができません。カウンセリングの際には、既往歴や現在の健康状態について、必ず詳しくお伝えください。
ピコスポットのよくあるご質問(Q&A)
ピコスポット治療に関するよくあるご質問にお答えします。
Q: レーザーを照射している時は痛いですか?
「輪ゴムでパチッと弾かれる程度」と表現されることが多く、比較的小さいものです。ほとんどの場合、麻酔は必要ありませんが、痛みにご不安がある方や広範囲を治療する場合には、ご希望に応じて麻酔クリームを使用することも可能です。
Q: かさぶたができなかった場合は効果がないんですか?
施術後にかさぶたができなくても効果がないわけではありません。特に薄いシミの場合、ピコレーザーは目に見えるかさぶたを作らずに色素を破壊し、効果を発揮することがよくあります。
Q: ピコスポットは肝斑には効果がありますか?
高出力で照射する「ピコスポット」は肝斑には適しておらず、かえって悪化させてしまうリスクがあります。肝斑の治療には、低出力で顔全体に優しく照射する「ピコトーニング」が用いられます。
Q: ピコスポットでシミをとるにはどれくらいの治療回数が必要ですか?
薄いシミであれば1回で満足のいく結果が得られることもありますが、多くの場合、最適な結果を得るためには1回から3回の治療が推奨されます。
ピコスポット照射の施術料金
ピコスポット照射の施術料金は以下の通りです。
最大径1㎝まで | 11,000 円 |
最大径1㎝以上2㎝まで | 22,000 円 |
最大径2㎝以上3㎝まで | 33,000 円 |
最大径3㎝以上4㎝まで | 44,000円 |
となります。ぜひご活用いただき、シミのない肌を一緒につくっていきましょう。