鏡を見るたびに、頬に広がる左右対称の影。肝斑にお悩みの方は多いのではないでしょうか。
今まで、肝斑を含めたシミ治療の代表的な治療と言えば、トーニングといった「レーザー」や「トラネキサム酸」をエレクトロポレーションなどで導入したり内服したりすることによる治療ですよね。
当院でもピコ秒という肌に与えるダメージを最小限に抑えた「ピコトーニング」による肝斑治療を行っています。
しかし、それらとは全く異なる視点からアプローチする「ポテンツァ」による肝斑治療も注目を集めているんです。一体どういった治療なのでしょうか。
今回は、肝斑治療の常識を変えるといわれている「ポテンツァ(Potenza)」の肝斑モードについて、最新の研究データを交えて詳しく解説します。
肝斑はなぜ起きるのか

肝斑の正体は、単にメラニンが過剰に作られているだけではありません。 実は、お肌の表面から奥深くまで、複数の層でトラブルが起きている「複合的な状態」であることがわかっています。
肌は表面の「表皮(ひょうひ)」と、その奥にある「真皮(しんぴ)」に分かれています。 その境目にあるのが「基底膜(きていまく)」という薄い膜です。 これは、メラニンが真皮に落ちないように防ぐバリアのような役割をしています。
最新の解析(トランスクリプトーム解析など)によると、肝斑がある部分では、この基底膜がもろくなって穴が開いたような状態になっていることが報告されています。 そのため、本来は表面に留まるべきメラニンが奥深くへと入り込んでしまい、なかなか消えない頑固な影となってしまうのです。
さらに、肝斑ができる原因の多くは、実はお肌のさらに深いところにある「真皮」にあります。例えば、肝斑の原因として以下のことが考えられています。
- 真皮の光老化(こうろうか):長年の紫外線ダメージにより、真皮にある弾力成分(エラスチン)が変性してしまいます。
- 血管の異常:肝斑の部位では、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)という物質が増え、細かな血管が異常に増殖していることがわかっています。 肝斑が少し赤みを帯びて見えるのは、この血管の増えすぎも関係しているのです
このように、「ダメージを受けた真皮」が、メラノサイト(メラニンを作る細胞)に対して「もっとメラニンを作れ」という間違った命令を出し続けてしまうことが、肝斑が治りにくい大きな理由と考えられています。
ポテンツァの肝斑治療という新しい選択肢

今までの肝斑の治療はトランサミンやトーニングといった弱い出力のレーザー治療が中心です。
これらは、トランサミンで血管の異常や新しい炎症を誘発させないようおさえつつ、真皮にダメージを与えないよう、あえて弱い出力でメラニン色素を除去していくという方法です。
ポテンツァでは全く違う方法をとります。
ポテンツァは、極細の針(マイクロニードル)の先端から高周波(RF)を照射する最新の美肌治療器です。そして、ポテンツァでは従来の治療のようにレーザーで「メラニンを壊す」のではなく、肌の土台である「基底膜(表皮と真皮を隔てる薄い膜)」を修復し、真皮の環境そのものを整えます。
例えば、肝斑では、基底膜のフィルターが穴が開いてしまっているのが原因で、表面で作られたメラニンが奥深くへと漏れ出し、なかなか消えない頑固なシミになってしまうのでしたね。ポテンツァの肝斑モードは、針の先から出る高周波(RF)の熱エネルギーにより、この基底膜の修復を促します。 フィルターを新しく作り直すことで、メラニンの「漏れ」を物理的に防ぐことができるようになると考えられているのです。
また、最新の研究では、肝斑は単なる色素の問題ではなく、真皮(お肌の深い層)の環境が乱れている「慢性的な炎症状態」であることがわかってきました。
特に注目されているのが、異常な毛細血管の増殖です。 肝斑がある部分では、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)と呼ばれる物質が増えており、これがメラノサイト(メラニンを作る細胞)に「もっと色を作れ」と命令を出し続けてしまいます。 ポテンツァの高周波は、これら異常な血管を適度に抑制し、真皮の炎症を鎮める働きがあります。
つまり、メラニンを作る「工場」に対して、間違った増産命令を出さないように環境を整えてくれるのですね。
このように、ポテンツァの肝斑モードは、従来のアプローチとは全く異なる、「原因から取り除く」根本治療の1つであるといえるのです。
ポテンツァの肝斑治療の効果は?

さて、ポテンツァによる肝斑治療は理論だけではありません。効果もさまざまな論文で言われています。
例えば、2025年のイスラエルで発表された論文では、混合型肝斑(肌の表面と深い層の両方にシミがあるタイプ)の女性14名(35〜48歳)を対象に、その効果を調べています。
- 高周波マイクロニードルで肌を処置。
- その直後に、4%トラネキサム酸液を塗布して浸透させる。
という方法で、3週間おきに合計4回の治療を行い、最終治療から3か月後に写真と重症度スコア(mMASI)で比較しました。
すると、14名中13名(93%)で肝斑が薄くなり、重症度スコアも平均で 5.22 → 3.6 へと改善(全体で約31%の改善)していたのです。(上記写真参照)
肝斑治療は非常に難しく治療効果がなかなか出にくい中で、かなりの効果をあげているのではないでしょうか。
また、2022年のタイからの論文では30名の女性(平均年齢43歳)に対して、肝斑治療にマイクロニードルのみを使用した試験があります。
本試験では、2週間おきに合計 3回 の施術を行い、その後6ヶ月間経過を観察しています。すると、以下のような改善がみられています。
- 肝斑の重症度(mMESIスコア):最終治療からわずか2週間後には改善($-1.206$)が始まり、6ヶ月後まで継続しました(ベースラインから平均で 1.287$ ポイント減少)
- メラニン指数(MI):治療1ヶ月後(-24ポイント)から有意な改善がありました。6カ月後もベースラインから平均63ポイントと減少したとのことです。
さらに、肌のキメや粗さの指数も治療2週間後から0.84ポイント、6か月後の平均でも1.136ポイント減っていたというのですから、驚きですよね。
また、肌の炎症や赤身も治療2ヶ月後に減少(-26ポイント)が見られたとのことです
このように、トランサミンと組み合わせる試験が多いですが、マイクロニードルのみでも十分効果があることがわかりますね。
(参照:Efficacy and Safety of Using Noninsulated Microneedle Radiofrequency Alone Versus in Combination with Polynucleotides for the Treatment of Melasma: A Pilot Study)
(参照:Topical Tranexamic Acid-mediated with Non-insulated Microneedling Radiofrequency for the Treatment of Melasma)
ポテンツァの肝斑治療は何回くらいやった方がよい?

他にも様々な試験があるのですが、ポテンツァの肝斑治療はおおむね3回から5回くらいを1クールで考えるとよいでしょう。大体セッションごとの効果実感としては以下の通りです。
- 初期段階(1〜2回目): 多くの方が、1回目または2回目のセッション後、4週間以内に肌のトーンアップや質感の改善を実感し始めます。
- 中期段階(3〜5回目): 3回以上の施術を重ねることで、MASIスコアの顕著な低下が観察される。臨床試験としてはは、3回から5回を1クールと設定している場合が多いですね。
- 完成段階(6回以降およびメンテナンス): 重症または難治性の肝斑の場合、6回以上の継続が必要となることがあります。最終的な効果は、最終施術から3ヶ月から6ヶ月かけて、コラーゲンの成熟とともに最大化されるでしょう。
研究によれば、MNRFによる治療効果は長期的に安定する傾向にありますが、肝斑が「慢性的な炎症である」と考えると、6カ月から12カ月おきのメンテナンス施術が推奨されます。
まとめ
今までの肝斑治療でなかなか効果がでないという方は、まったく新しいアプローチである「ポテンツァ」によるマイクロニードル法での肝斑治療も十分選択肢としてあげられるでしょう。
もちろん、王道の手法である「ピコトーニング」やトサンサミンも肝斑治療としてオススメできます。ポテンツァの肝斑治療は
- レーザー治療による白斑や悪化(リバウンド)のリスクを避けたい方
- 肝斑の改善と同時に、毛穴の開きや肌のハリも向上させたい方
- 内服薬の継続が難しい方や、治療効果を長期的に維持したい方
には特にオススメですね。最終的には、お肌の状態とコストパフォーマンス含めて1人1人に合わせて丁寧にカウンセリングさせていただいた後に最終的に決定します。
ぜひ気になる方はご来院ください。


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