医療従事者の接種が推奨されるワクチンの種類について【新型コロナワクチン以外も】

新型コロナワクチンの普及がすすみ、他のワクチンについても関心が高まっています。

次にどのようなワクチンを接種すればよいのでしょうか。今回、さまざまな病気に接する医療関係者(介護・福祉なども含む)が接種したほうがよいワクチンの種類について解説していきます。

医療関係者が打った方がよいワクチンの種類は?

日本環境感染学会による医療関係者のためのワクチンガイドラインによると、「医療関係者が打った方がよいワクチン」として、下記が記載されています。

  • B型肝炎ワクチン
  • 麻疹風疹ワクチン
  • 流行性耳下腺炎ワクチン
  • 水痘ワクチン
  • インフルエンザワクチン
  • 髄膜炎菌ワクチン
  • 破傷風トキソイド
  • 百日咳ワクチン
  • 帯状疱疹ワクチン

なお「医療関係者」というとなんとなく医師や看護師のイメージがありますが、そうではありません。例えば以下の職種をすべて含みます。

事務職、医療職、学生を含めて、受診患者と接触する可能性のある常勤、非常勤、派遣、アルバイト、実習生、指導教官、業務として病院に出入りする者等に加えて、救急隊員、処方箋薬局で勤務する者

さらに、厚生労働省では「新型コロナウイルス疑いの患者さんに頻繁に接する業務を行う職員に関して、新型コロナワクチンの接種が望まれる」としており、新型コロナワクチンも接種が推奨されています。(同時に強制ではなく、業務に従事する条件にもならないと言及しています)(詳しくはこちら

それぞれについて見ていきましょう。

新型コロナウイルスワクチン

新型コロナウイルスは2019年より全世界で大流行したウイルスです。現在でも様々な変異株を経て、人々の生活を脅かし続けています。新型コロナウイルスの症状や経過については、新型コロナウイルス感染症についてを参照してください。

厚生労働省によると、下記の方が、「早期に接種する医療従事者」としています。

  • 病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションに従事し、新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員
  • 自治体等の新型コロナウイルス感染症対策業務で、新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員
  • 新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者を搬送する救急隊員等・海上保安庁職員・自衛隊職員

接種を受けられる場所は以下の通りです。

  • 接種を行う医療機関(主に、職員数の多い病院)にお勤めの方:勤務先の病院
  • 対象となるその他の方:所属団体(医師会、歯科医師会、薬剤師会等)や自治体から指定された医療機関

新型コロナワクチンの種類についての言及はされていません。しかしワクチンの種類で予防効果が異なり、例えばファイザー製で95%・モデルナ製で94%・アストラゼネカ製で76%の予防効果となります。(詳細はこちら)アストラ是根化製は原則40歳以上の方を対象としています。

また、新型コロナワクチンは原則1回目と2回目は同じワクチンを使用しますが、次の場合は1回目と2回目は異なるワクチンを使用してもよいとしています。

  • 1回目の新型コロナワクチン接種が国内の流通の減少や転居などで、2回目に同じ新型コロナワクチンの接種を受けるのば難しい場合
  • 医師が1回目の新型コロナワクチンの副作用が強いなどを理由に、同じワクチン接種が難しいと判断した場合

その場合の接種間隔は1回目の接種から27日以上あけて2回目の接種を実施することとしています。

B型肝炎(HBV)ワクチン

B型肝炎ウイルスは、血液を媒介する病原体としては最も感染力が強いウイルスです。針刺しや小さな外傷からも感染が成立することがあります。成人がB型肝炎に感染した場合、6週間~6か月の潜伏期の後に、3割~5割で急性肝炎を発症します。詳しくは、B型肝炎と大人(成人)のB型肝炎ワクチンについても参照してください。

血液での感染力の強さから、以下の方はB型肝炎ワクチンの対象とすべき職種になります。

  • 直接患者さんと医療やケアに関わる職種医師、歯科医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語療法士、歯科衛生士、視能訓練士、放射線技師、救急隊員およびこれらの業務補助者や教育トレーニングを受ける方
  • 患者さんの血液や体液に接触する可能性のある職種臨床検査技師、臨床工学技士およびこれらの業務補助者、清掃業務従事者、洗濯・クリーニング業務従事者、検体搬送従事者、給食業務従事者、患者の誘導や窓口業務に当たる事務職員、病院警備従事者、病院設備業務従事者、病院ボランティアなど

上記をみると非常に多くの方がB型肝炎ワクチンの対象になることがわかります。3回接種を1シリーズをしますが、40歳未満の医療従事者で約92%、40歳以上で約84%で基準以上の抗体価が獲得されます。

しかし通常、1シリーズの3回目のワクチン接種終了後1~2か月後にHBs抗体を測定し、陽性化の有無を確認します。

麻しん風しん・流行耳下腺炎(ムンプス)・水痘ワクチン

上記4つの疾患は、「小児の疾患」のイメージがありますよね。実際は、成人でも免疫がなければ発症しますし、時に重症化することもある疾患です。さらに周りの患者さんや医療感染者への感染源となることから、早急に対応するように求められています。

通常、医療機関に勤務や実習する前は1歳以上で「2回」の予防接種記録を提出することを原則としており、医療関係者の方は、予防接種記録の保管は必須といえますね。なお、

  • 予防接種記録が「1回」のみ:4週間以上あけて2回目の予防接種を受け、「2回」の記録を勤務や実習前に提出
  • 上記に該当しない方:4週間以上変えて2回の予防接種を受けて医療機関に提出

を原則としています。なお、ワクチン接種を受けられない方は個人のプライバシーと感染発症予防に十分配慮し、当該医療関係者が発症することがないよう勤務・実習体制を配慮するとしています。(詳細はこちら

麻しん風しんワクチンの効果については、大人の麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)接種についても参照してください。

インフルエンザワクチン

インフルエンザは毎年12月下旬から3月上旬まで流行する感染症です。

通常の風邪よりも感染力も重症化率も高いことから、接種不適当者に該当しなければ全医療関係者(妊婦又は妊娠している可能性のある女性、65 歳以上の高齢者を含む)がインフルエンザワクチンの接種が推奨されています。

なお、接種不適当者とは以下のことを指します。

  • 明らかな発熱を呈している方
  • 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
  • インフルエンザワクチンの成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな方
  • それ以外、予防接種を行うことが不適当な状態にある方

毎年インフルエンザの流行するタイプが異なるので、毎年1回接種することになります。

インフルエンザワクチンの詳細はインフルエンザとインフルエンザワクチン(予防接種)も参考にしてください。

破傷風トキソイド

破傷風は汚染された傷口から破傷風毒素により発症する感染症です。神経症状や呼吸筋麻痺による呼吸困難で死亡することもあるので、注意すべき感染症の1つといえます。それを受けて、以下の方が接種対象者とされています。

  • 外傷などを被る危険性が高い医療関係者・災害医療に従事する可能性が高い医療関係者
  • 必要に応じて、過去の予防接種歴から破傷風トキソイドを含むワクチンを接種していない医療従事者もしくは規定量・回数の接種が行われていない医療関係者

2番目まで含めると、かなりの該当される方が多いワクチンといえます。小児期に予防接種は受けていると思いますが、最終接種から10年以上経過されている方は、一度接種しておいた方がよいワクチンの1つとなります。

詳しくは破傷風ワクチン(トキソイド)を打つ場合は?効果や保険適応・投与間隔についても解説を参照してください。

帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹は、水痘ウイルスが再活性化して帯状の皮膚症状と神経痛がでる疾患です。水痘よりも感染力は弱いものの接触感染で感染し、免疫力が弱っている方を扱うことの多い医療関係者は接種したほうがよいワクチンの1つになります。

こうしたことからガイドラインでは下記の方との接種を想定される50歳以上の医療関係者は接種したほうがよいとされています。

  • 白血病、悪性腫瘍患者
  • 臓器移植患者
  • 副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬による治療中の方
  • HIV 陽性者、AIDS 患者
  • 放射線治療患者
  • 原発性免疫不全症の者
  • 妊婦
  • 新生児

帯状疱疹ワクチンには「弱毒水痘生ワクチン」と「シングリックス®」の2種類があります。それぞれのワクチンの特徴や効果については、帯状疱疹や帯状疱疹ワクチン【効果・価格・持続期間】について解説も参照してください。

百日咳ワクチン

百日咳とは、特有のけいれん様の咳発作を特徴とする急性気道感染症のことです。特に乳児から感染することもあり、生後6か月以下でも死亡する危険性も高いことで知られています(詳細はこちら)。

こうしたことを受けて医療関係者のうち、特に産科病棟スタッフ、新生児・乳児をケアするスタッフ、妊娠中の母親や入院中の新生児・乳児と直接接触する医療関係者)は百日咳ワクチンを接種することが推奨されています。

百日咳ワクチンは四種混合予防接種ワクチン(DPT-IPV)・三種混合ワクチン(DPT)に含まれています。予防接種による免疫効果は5年程度で低下するといわれており、特に乳児や新生児を扱う医療関係者スタッフは接種したほうがよいでしょう。

髄膜炎菌ワクチン

髄膜炎菌とはもともと免疫力の低下をしている方がなりやすい感染症です。文字通り髄膜炎といって、神経の炎症を起こし、全身感染症に至り、適切な治療をしないと致死率はほぼ100%に達します。日本でも多い感染症の1つでしたが、1970年代から激減し、1990年第になると一桁台になりました。

しかし重症化の強さから、以下に該当する55歳以下の医療関係者は、ワクチン接種が推奨されています。

  • 検査室や研究室で髄膜炎菌を扱う可能性がある臨床検査技師や微生物研究者
  • 無脾症、持続性補体欠損症、HIV 感染などの疾患を有する方や脾臓を摘出した方
  • 侵襲性髄膜炎菌感染症の発症頻度の高い地域(髄膜炎ベルト等の海外)へ訪れる方
  • ヒト化モノクローナル抗体を投与された方(治療開始前2 週前までの接種が推奨されます)

通常1回筋肉注射で5年間有効です。効果はおよそ805~95%ですが、接種殻5年たつと、効果が弱まるので5年ごとに接種が必要になります。

まとめ

医療関係者に推奨されるワクチンについてまとめました。

遭遇する頻度から考えると「新型コロナウイルスワクチン」「インフルエンザワクチン」「B型肝炎ワクチン」は接種が推奨されます。(もしくは抗体検査)

「麻しん風しんワクチン」「ムンプスワクチン」「水痘ワクチン」は2回の予防接種記録の保管が必要です。外傷を扱うスタッフなどは、「破傷風トキソイド」も検討されます。

「帯状疱疹ワクチン」「百日咳ワクチン」「髄膜炎菌ワクチン」はそれぞれリスクの高い患者さんと接する機会がある医療関係者には推奨されるワクチンです。

それぞれの職場の環境に合わせて接種すべきワクチンは異なります。ぜひ当院にもワクチンに関してご相談ください。

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【この記事を書いた人】 
一之江ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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