多汗症とは

多汗症とは、大量の発汗により日常生活に支障を来す状態のことです。

多汗症は、全身に発汗の増加がある全身性多汗症と、体の一部のみ発汗が増加する局所多汗症に分けられます。

全身性多汗症については、様々な内科疾患の症状として起こることが多いためここでは触れず、局所多汗症について当院でできる治療方法も含めて説明いたします。

局所多汗症とは

局所多汗症は脳梗塞などの合併症で発症するものもありますが、明らかな原因のないものがほとんどです。

日本での局所多汗症の頻度は2020年の調査によると約10%です。これは日本人の10人に1人が汗で困っているということになります。年代別では20~39歳で特に多く、比較的若い人に多いということが分かっています。

また部位別では、手のひら  2.9% 足の裏  2.3% わき  5.9% 頭・顔  3.6%となっています。

このように患者さんの数は比較的多いのですが、局所多汗症で病院あるいはクリニックを受診したことのある人の割合は4.6%と全患者さんの半分以下であり、さらに、継続して通院治療した人の割合は0.7%とかなり少ないです。これは、今まで保険診療内であまり有効な治療がなかったこと、汗で受診することを羞恥心のためためらってしまうこと、そもそも患者さん自身が病気と思っていなかったこと、などさまざまな要因があります。最近では有効な薬が発売されたことや、疾患として啓発が盛んになったことなどにより、受診する患者さんが増えてきています。

局所多汗症の治療方法

局所多汗症の治療は色々ありますが部位によって使用可能なものが異なります。それぞれ以下に解説します。

(当院で施行可能なものは赤字にしております)


・塩化アルミニウム

古くからある塗り薬で、ほとんど副作用もなく、全ての部位に使用できますが、保険適用がありません。効果も限定的なことが多いです。


・エクロック®ゲル

わきの多汗症に使用可能です。有効性は高く、現在、わきの多汗症治療薬として広く使用されています。副作用として口渇、眼圧上昇などがあります。


・ラピフォート®ワイプ

わきの多汗症に使用可能です。1回使い切りの個包装になっており、使いやすいです。有効性はエクロック®ゲルと同等で、こちらも、わきの多汗症治療薬として広く使用されています。副作用として口渇、眼圧上昇などがあります。


・アポハイド®ローション

手の多汗症に使用可能です。手の多汗症に唯一保険適用のある塗り薬で、有効性も高いです。副作用として口渇、眼圧上昇などがあります。エクロック®ゲルあるいはラピフォート®ワイプと併用すると副作用の頻度が上昇する可能性が指摘されており、併用時は注意が必要です。


・プロ・バンサイン®

多汗症に保険適用のある飲み薬です。もともとは消化管疾患の薬です。すべての部位の多汗症に使用可能ですが、塗り薬よりも副作用に気をつけて使用しないといけません。副作用として口渇、便秘、眼圧上昇、起立性低血圧、かすみ目、めまいなどがあります。


・イオントフォレーシス

当院では手足の多汗症に使用可能です。微弱な電流を流すことで発汗を抑える治療です。

詳しくは、こちらのページをご覧ください。


・ボツリヌス毒素局注

どの部位の多汗症にも使用可能ですが、わきの多汗症のみ保険適用となっています。A型ボツリヌス菌毒素を患部に注射する方法で、重症例に行われることが多く、有効性も高いですが、まれな副作用として筋力低下や消化器症状などが報告されています。


・手術療法

他の治療が無効な重症例に行うことがあります。有効性は高いですが、手術を行ったところ以外の部位の発汗が増加する(代償性発汗と言います)ことが多く、行うかどうかは慎重に検討する必要があります。

多汗症に悩んでいる患者様に

多汗症は非常に生活の質を下げる疾患ですが、もう諦めているなどの理由でまだまだ受診率は低いです。症状が改善できる可能性は十分あります。東京都江戸川区・江東区・葛飾区・足立区や、千葉県浦安市・市川市・船橋市などで多汗症でお困りの方は、ぜひ当院を受診してみてください。

参考:原発性局所多汗症診療ガイドライン2023改訂版

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