汗っかきと多汗症の違いは?多汗症について解説【原因・治療・改善法】

(2021年7月26日に更新しました)

・ 手汗で紙が濡れてしまい、日常生活に支障ができる
・ 温度が高くなると、腋や手のひらに汗でかゆくなる
・ 夏になると決まって頭に汗がびっしょりになり困っている

といった方に対して、一之江駅前ひまわり医院では多汗症に対する治療も行っております。

多汗症とは?

多汗症とは文字通り「汗が通常よりも多くでて日常生活に支障がでる」疾患群のことです。大きくわけて、全身の汗の量が多い「全身性多汗症」と部分的に汗の量が多い「限局性多汗症」があります。

汗が多くでやすい部分としては、頭や顔・手のひら・足の裏・足の側面・わきの下などがあげられます。

平成21年度の全国疫学調査では、原因のわからない手のひらの多汗症患者さんの有病率は人口の約5.3%と極めて高い割合であることがわかりました。さらに、このうち医療機関へ受診する人の割合は1割以下である事から、治療されていない患者さんが多い事もわかっています。(研究の詳細はこちら

多汗症と「汗っかき」の違いは?

「汗っかき=多汗症」と考える方も多いですが、そうではありません。夏の暑い時期、辛いものを食べた時、緊張が過度にかかった時に汗をかくのはごく自然であり、その量が多いのは個性とも言えます。

しかし「普段から汗をかいて紙を濡らしてしまう」「日常生活で極度に汗をかいて人と手も握れないくらいになる」というのは日常生活を送る上で頻繁に支障がでてきてしまいますので、多汗症としての治療の対象になることが多いです。(最終的には医師の判断になります)

多汗症の原因は?

全身性多汗症の場合、原因がわからない「原発性多汗症」と、ホルモンや神経の異常・感染症などによる「続発性多汗症」にわかります。この「続発性多汗症」を考える場合、血液検査でくわしく調べることがあります。

限局性多汗症の場合でも、腫瘍や外傷によることに伴う場合と原因がわからない「原発性多汗症」があります。ただし、「原発性多汗症」の場合でも以下の要因が示唆されています。

  • 家族内に同じ症状がでやすいことから遺伝的要因
  • 自律神経が乱れやすく、発汗をうながす交感神経が人よりも興奮しやすい
  • 腋のにおいが強い人は、通常の人よりも「アポクリン汗腺」が大きく分泌量が多い

多汗症の症状は?

 幼少児期ないし思春期ころに発症し、手のひら、足のうらは精神的にストレスがかかると特に汗の量が多くなります。多汗症の症状が強い方は、したたり落ちる程の発汗がみられ、手・足はいつも湿っており、時に紫色になることもあります。寝ている時は局所性の発汗がみられないのも特徴の1つです。

またわきの多汗症は精神的なストレスや温熱刺激によって左右対称性にわきの下に汗の量が多くがみられます。ヒトによって下着やシャツにしみができることも。

神経異常やホルモン異常(甲状腺機能亢進症や更年期障害など)による多汗症による場合は、多汗症の症状に加えて、それぞれの原因による症状が加わります。

(参考: 原発性局所多汗症診療ガイドライン策定委員会. 日皮会誌. 2015

多汗症の検査は?

主に日常生活でどれくらい汗で困っているか、ホルモン異常や神経異常などの症状がないかなどを中心に詳しく診察させていただきます。「続発性多汗症」を疑う場合は血液検査で詳しく調べます。

局所的な多汗症でかゆみや雑菌が入ったことによる痛みが伴っている場合、患部も診察させていただくこともあります。

重症度の判定には主に「HDSSスコア」(Hyperhidrosis disease severity scale)を用いています。自覚症状がどれくらい日常生活に影響をあたえているかを中心としたテストです。自分がどれくらいの重症度なのかセルフチェックするとよいでしょう。

1発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
2発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
3発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
4発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある

(参考: 原発性局所多汗症診療ガイドライン策定委員会. 日皮会誌. 2015; 125: 1379-1400
(参考: Strutton DR, et al. J Am Acad Dermatol. 2004; 51: 241-248

多汗症の治療は?

原発性多汗症の場合、塗り薬・内服薬(西洋薬・漢方薬)の他、ボツリヌス注射・イオンフォトレーシスなどがあります。続発性多汗症の場合は、それぞれの疾患に対する治療が加わります。(ボツリヌス注射・イオンフォトレーシスは当院では行っていません)

① 塗り薬(外用薬)

保険適応の薬とそうでない薬があります。保険適応の薬は現在腋の汗に使用する「エクロックゲル®」です。汗腺のアセチルコリンの働きを局所でブロックすることで汗を抑えます。1日1回の外用で24時間効果を発揮します。

国内の臨床試験では、53.9%の方は日常生活に支障が無くなる程度まで改善し、発汗量も半分以下に抑えられたと報告されています。効果が出るまでの期間も2週間と比較的早くに実感できるのも特徴です。

しかし、現時点では「腋の汗」にしか保険適応になっておらず、塗った場所しか効果がでませんし、かぶれることがあるので、肌の状態を見ながら処方します。なお、エクロックゲル®は緑内障や前立腺肥大の方は使用することができません。

また、保険適応外ですが「塩化アルミニウム」が汗を抑える塗り薬として有用です。塩化アルミニウムは角層内の汗管とくっつき、発汗の出口を物理的にふさぎます。

腋にかぎらず手汗などにも使用することができます。塗った箇所に対しては、物理的に汗を止めるので効果は高いですが、流れてしまうとつけなおす必要があったり、かぶれることがあるのが欠点です。

② 飲み薬(内服薬)

内服薬で保険適応があるものは、「プロバンサイン®」という汗を促す自律神経を抑えるお薬です。全身の汗の総量を抑えますが、効果にバラツキがあること、口の渇きや眠気などの副作用があるので慎重に使用します。

他、同様の作用をもつ「ベシケア®」や精神的に落ち着かず発汗が促される場合は自律神経を整える薬である「グランダキシン®」などが使用されることもあります。(日本皮膚科学会の見解はこちら

また、発汗を抑える目的で「防已黄耆湯」や「黄耆建中湯」などの漢方薬が使用されることもあります。それぞれの患者さんの「証」を見ながら現時点での体質にあった漢方薬を提供しております。

③ A型ボツリヌス菌毒素製剤の局所注射療法

(当院ではおこなっておりません)外用薬や内服薬で効果がない時にご紹介することもあります。

ボツリヌス菌から精製された毒素には神経をブロックする作用があります。これを利用して手のひらや腋に注射することで汗を抑えます。1回の注射で

問題点は筋肉にも作用して一時的にハシやペンなどが持ちにくくなることですが、徐々に回復していきます。重症例を除き保険診療でないこと、保険診療適応下でも2万円以上の高額な医療費がかかることも欠点です。(日本皮膚科学会による見解はこちら

④ イオンフォレーシス

(当院ではおこなっておりません)外用薬や内服薬で効果がない時にご紹介することもあります。

汗の多い手のひら、足のうらを水道水の入った容器の中に浸し、10~20mAの直流電流を流す方法です。陽極側で電気分解で生じた水素イオンが、汗腺に作用して発汗を抑えると考えられています。

汗を抑える効果も高く、副作用も少ないため、利用しやすいことが特徴です。しかし1回30分の通電を8回~12回行わないと効果を発揮しない点やその後も維持するために週1回~2回行わないといけない点がデメリットとなります。

保険診療が可能ですが、通院困難な場合、米国製の家庭用(ドライオニック)がインターネットで購入できます。(問い合わせ先はこちら

⑤ その他の治療方法

・ 交感神経を遮断する手術
・ 交感神経ブロック
・ 精神療法
・ ミラドライ: マイクロ波で汗腺を破壊する治療方法

(いずれも当院では行っておりません、一部保険適応外です)

などさまざまな治療方法が模索されております。治療方法についてはぜひご相談いただけますと幸いです。

多汗症の日常生活での改善方法は?

多汗症は家族内発生も多く、遺伝的素因が大きいため、日常生活の改善のみでは治癒しないことが多いです。しかし、多汗症の方は以下の点に気をつけてみるとよいでしょう。

  • 多汗によるかぶれを防ぐため、汗を吸わない衣類の着用をしない
  • 普段から睡眠時間を確保し、自律神経が整った状態をキープする
  • カプサイシンなど発汗を促す成分は多汗症を増悪させるため摂取しない
  • 緊張する場面で大きく作用するため、事前にシミュレーションをしてリラックスした状態でのぞむ

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