インフルエンザとインフルエンザワクチン(予防接種)【効果や副作用・接種時期の目安】

(2021年6月30日に更新しました)

毎年、インフルエンザの季節の前に行われるのが、インフルエンザワクチンの接種です。当院でももちろん地域住民の方の健康を守るために、インフルエンザワクチンを取り扱っております。

新型コロナウイルス感染症が蔓延して以来、注目を再び集めたインフルエンザワクチンですが、効果や副作用・接種後の注意点などをまとめました。

インフルエンザ感染症とは?

(インフルエンザウイルスの電子顕微鏡写真)

インフルエンザ感染症とは、インフルエンザウイルスが原因で起こる感染症です。毎年11月下旬~12月上旬に流行が始まり、翌年の1月か2月ににピークを迎え、春先におちついてきます。飛沫感染で感染力が強いため、ひとたび流行が始まると、短期間で感染が拡大します。

普通の「風邪」と異なり、インフルエンザ感染症は重くなることも多いこと、感染力が強いことから定点把握(どれだけ数がいるか国が把握すること)されている感染症の1つです。

インフルエンザ・通常の「風邪」・新型コロナ感染症の違いは?

普通の風邪の多くは、のどの痛み・鼻水・咳などの症状が中心で、発熱もインフルエンザより高くなりません。重症化することも少なく通常4日~5日で軽快します。

それに対しインフルエンザは、38℃以上の発熱・頭痛・関節痛・筋肉痛・全身のだるさが比較的早くに現れるのが特徴です。

あわせて普通の風邪と同じように、のどの痛み・鼻水・咳等の症状も見られます。小児ではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では二次性の肺炎を伴う等、重症になることがあります。

新型コロナウイルス感染症は、発熱・咳・息切れの症状が中心で、後から味覚嗅覚障害の頻度が高くなるのが特徴です。新型コロナウイルス感染症は他2つの感染症よりも症状が長引き、後から肺炎に至る例があります。

新型コロナウイルス感染症については、新型コロナウイルス感染症について【症状・臨床経過】も参照にしてください。

(参考:厚生労働省 インフルエンザの基礎知識

インフルエンザワクチンとは?

インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスのA型及びB型株を発育鶏卵で培養し、増殖したウイルスを感染力をなくした状態で接種する方法です。これを不活化ワクチンといいます。(インフルエンザワクチンの添付文書はこちら

現在国内で広く用いられているインフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスA型株(H1N1株とH3N2株の2種類)及びB型株(山形系統株とビクトリア系統株の2種類)のそれぞれを培養して製造されているため、「4価ワクチン」と呼ばれています。

インフルエンザワクチンには、インフルエンザの発症を防止するほか、インフルエンザにかかったとしても重症になりにくくする効果があります。不活化ワクチンは人体への感染力を失っているので、もちろんインフルエンザワクチンでインフルエンザを発症することはありません。

インフルエンザワクチンの効果は?

よく「インフルエンザワクチンうったんだけど、インフルエンザにかかったことがあるから信用できない」という声を聞きます。

実は、それもそのはず。インフルエンザワクチンには、「発病」を抑える効果が一定程度認められていますが、麻しんや風しんワクチンで認められているような高い発病予防効果を期待することはできません。

国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者を対象にした場合でも、34~55%しか発病をなくす効果しかありません。

つまり半分以上は、「インフルエンザワクチンを打ってもかかってしまう」ということになりますね。一方。米国CDCの発表によると、65歳未満の発症予防効果は70~90%という報告もあります。(参考:厚生労働省発表によるインフルエンザワクチンの効果はこちら

インフルエンザワクチンの主な効果はその先です。インフルエンザの怖い点は、多くの方が1週間程度で回復する一方、中には肺炎や脳症などの重い合併症で入院や死亡することも。

インフルエンザワクチンは、そういった重症化も予防できます。65歳以上の同研究では死亡を抑える効果は82%といわれています。

インフルエンザの接種時期の目安は?予防効果はいつから?

日本ではインフルエンザは通常12月~4月頃に流行し、1月末~3月上旬に流行のピークを迎えていきます。

インフルエンザワクチンの免疫効果は接種後2週間くらいから現れはじめ、4週間後くらいにピークになるといわれています。(2回接種の場合は2回目接種後の2週間後)

こうしたことから、12月中旬までにはワクチン接種を終えることが望ましいと考えられますね。また、インフルエンザワクチンによる免疫の持続効果は5か月くらいといわれています。

インフルエンザワクチンを接種してはいけない人は?

インフルエンザの添付文書によると、次のような方は接種を行ってはいけないとされています。

  • 明らかな発熱がある方
  • 重く急な病気にかかっている方
  • インフルエンザワクチンでアナフィラキシーになったことがある方
  • 上記以外で、予防接種を行うことのリスクが高い方

妊娠中にインフルエンザワクチンは接種できる?

妊娠中のインフルエンザワクチンは接種してはいけない人に該当していませんが、添付文書上では安全性は十分に確認はされていないとしています。

しかし、

  • 妊娠中のインフルエンザ感染症は重症化しやすい点
  • これまでの臨床試験から重大は胎児の影響は認められていない点

などから、2020年の産婦人科学会のガイドラインでは以下のようにしています。

  • 妊婦へのインフルエンザワクチン接種はインフルエンザの予防に有効であり、母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じて極めて低い(推奨度B)
  • インフルエンザに感染した妊婦・分娩後2週間以内の褥婦への抗インフルエンザウィルス薬投与は重症化を予防するエビエンスがある(推奨度B)

卵アレルギーがある方はインフルエンザワクチンを接種してはいけない?

同添付文書には「本剤の成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対して、アレルギー症状がある方」は「接種要注意者」にあたります。

つまり、卵アレルギーの方は「絶対に接種してはいけないわけではないが、十分気をつけないといけない」ということですね。(インフルエンザワクチンの添付文書はこちら

なぜ卵アレルギーとインフルエンザワクチンに影響があるかというと、インフルエンザの製造に卵を使用しているから。

あとはアレルギーの重症度にもよりますので、お近くのかかりつけや当院にもご相談いただくとよいでしょう。

インフルエンザワクチンは毎年受けたほうがよい?

インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行することが予測されると判断されたウイルスを用いて作られています。

このため去年インフルエンザワクチンの接種を受けた方であっても、今年のインフルエンザワクチンの接種を検討した方がよいでしょう。

インフルエンザワクチンの副作用(副反応)は?

インフルエンザワクチンの副反応は大きく分けて、局所の副反応と全身の副反応に分かれます。

局所の副反応は、接種した場所(局所)の赤みやはれ・痛みなどがあげられます。接種を受けられた方の10~20%に起こりますが、通常2~3日でなくなります。

全身性の副反応は、発熱・頭痛・寒気・だるさ(倦怠感)などが見られます。接種を受けられた方の5~10%に起こり、こちらも通常2~3日でなくなります。

稀ですが、気を付けたい合併症にアナフィラキシーショックがあげられます。ワクチンに対するアレルギー反応で接種後、比較的すぐに起こることが多いことから、特に卵アレルギーやワクチンでアレルギー反応が起こりやすい方は、接種後30分間は接種した医療機関内で安静にしていただくとよいでしょう。

(アナフィラキシーに関しては、アナフィラキシーについて解説【食べ物・原因・治療・薬剤】も参照してください)

インフルエンザワクチンの接種間隔は?

① 13歳以上の方

1回接種を原則としています。ワクチンの添付文書には「13歳以上のものは1回または2回注射」と記載されていますが、健康な成人の方や基礎疾患(慢性疾患)のある方を対象に行われた研究から、インフルエンザワクチン0.5mLの1回接種で、2回接種と同じくらいの効果が得られるとの報告があります。詳細はこちら

もちろん医師が判断すれば2回接種することもできるので、ぜひご相談ください。

② 13歳未満の方

(当院では13歳未満には現時点では行っていません)通常2回接種になります。1回接種後よりも2回接種後の方がより高い抗体価の上昇が得られることから、日本ではインフルエンザワクチンの接種量及び接種回数は次のとおりとなっています。

なお1回目の接種時に12歳で2回目の接種時に13歳になっていた場合でも、12歳として考えて2回目の接種を行っていただいて差し支えありません。

③ 他のワクチンとの接種間隔

不活化ワクチン(肺炎球菌ワクチンなど): 接種間隔に制限はありません。


新型コロナワクチン: 新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種できません。 新型コロナワクチンとその他のワクチンは、お互い片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます。(厚生労働省HP


他の生ワクチン(BCG、MR[麻疹・風疹ワクチンなど]): 接種間隔に制限はありません。

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【この記事を書いた人】 
一之江ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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