アレルギー検査39種類セット「VIEW39」の項目や費用について解説

こんにちは、一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介です。突然ですが、

  • 特定の季節になると目のかゆみや鼻水が出る
  • 気温が寒くなると、息が苦しくなる気がする
  • 時々、急に皮膚が赤みがでてかゆくなる時がある

という方はいませんか?該当される方は花粉症やじんましん・喘息といったアレルギー症状の可能性があります。

原因を知って、日常生活で気を付けなければいけない点を知りたいという方のために、当院では採血によるアレルギー検査を行っております。特にここでは、スクリーニングのアレルギー検査として利用しやすい「VIEW39」について、項目や費用、何科にかかればよいかなどを含め、お話していきます。

アレルギー検査39種類セット「VIEW39」とは

よく用いられる血液アレルギー検査を一言でいうと「どのアレルギー物質が体に反応しているかを血液中の『IgE抗体』の量で調べる検査」のことです。その中で、VIEW39検査では特殊なパネル検査を用いることで、一度に39項目までアレルギー物質とアレルギーの反応性を血液検査で調べることができます。

では、どうしてIgE抗体を測定することで、「アレルギーかどうか」がわかるのでしょうか。

そもそもアレルギーとは「本来無害である物質に体が敏感になり、外へ追い出そうと過剰に反応する」こと。そのため

  • 皮膚を通して過剰に反応する反応➡じんましん
  • 鼻水を通して外に追い出そうとする反応➡アレルギー性鼻炎
  • 気管からアレルギー物質を外に追い出そうとする反応➡気管支喘息
  • 眼に付着して涙として外に追い出そうとする反応➡アレルギー性結膜炎

など、外に追い出すために様々な体の反応が出ます。その中で最も代表的な経路が「IgE」という抗体を介した「即時型アレルギー」です。

即時型アレルギー(I型アレルギー)では、図のように

  1. 原因物質(花粉やハウスダスト)が皮膚や気道粘膜に付着する
  2. 原因物質に反応するために標識となるマーカー(これをIgE抗体といいます)を作るようになる
  3. 肥満細胞がIgE抗体と結合すると、ヒスタミンをはじめとした多くの化学物質を作る

という経路でアレルギー反応が生じます。アレルギーの経路としては最も主要な経路ですが、遅発型アレルギーなど他のアレルギー経路もあるので、アレルギー反応のすべてを調べるわけではありません。

しかし、上記のIgE抗体を介した検査がアレルギー反応の大部分を占めるため、スクリーニング検査として用いやすい検査になるわけです。(しかも「VIEW39」では1回の検査で39項目調べられますしね!)

ちなみに、全てのアレルゲンに対応する非特異的IgEの量も調べますので、自分がどの物質に対しても反応する「アレルギー体質」かどうかもわかります。

アレルギー検査39種類セット「VIEW39」の項目は?

VIEW39の実際の項目吸入アレルゲンおよび食物アレルゲンが含まれる。ハウスダスト・ダニ・ガ・ゴキブリ・杉・ヒノキ・ハンノキ・シラカンバ・カモガヤ・ブタクサ・ヨモギ・アルテルナリア・アスペスギルス・カンジダ・マサセチア・ラテックス・卵白・オポムコイド・みるく・小麦・ピーナッツ・大豆・そば・ゴマ・エビ・カニ・キウイ・リンゴ・マグロ・酒・鯖・牛肉・豚肉・バナナ・オオアワガエリが含まれる。

アレルギー検査39種類セット「VIEW39」で調べられる項目を大きく分けると、「吸入系アレルゲン」と「食物系アレルゲン」に分かれます。まず吸入系アレルゲンは以下の通りです。

吸入アレルゲンだけを抽出した表。樹木や草・動物・昆虫・カビに分けて紹介

吸入系アレルゲンは「吸入することで様々なアレルギー症状がでるタイプ」のこと。アレルギー性鼻炎のほか、気管支喘息・アトピー性咳嗽(がいそう)の原因にもなりやすいアレルゲンです。

花粉症・気管支喘息の症状の出方やアレルゲンとの関係性については

を参照してください。一方、食物系アレルゲンは以下の通りです。

食物アレルゲンだけを抽出した表。卵、牛乳・小麦・豆・穀類・甲殻類・果物・魚・肉にわけて紹介

食物系アレルゲンとは、「食べることでアレルギー症状が出やすいタイプ」のこと。アナフィラキシーや蕁麻疹(じんましん)の原因にもなりやすいアレルゲンです。ただし後述しますが、食物系アレルゲンの検査はあくまで補助診断です。陽性であったとしても「食事制限しなければならない」というわけではありませんので、ご注意ください。

アナフィラキシーやじんましんについてはそれぞれ

を参照していただくとよいでしょう。

アレルギー検査39種類セット「VIEW39」の費用は?

アレルギー検査の実際の表

アレルギー検査39種類セット「VIEW39」の費用は次の通りです。

VIEW39で保険適応(3割負担)の場合5000円程度

となります。なお、VIEW39は「アレルギーがあると医師が認めた場合」は保険が適応されますので、3割負担は5000円程度ですが、1割負担だと1700円程度、2割負担だと3400円程度となります。また、中学生までは無料です。(無症状の場合は、自費検査となり15000円となります)

なお、「決まった項目ではなくて、自分の好きな項目を調べたい」という方もいらっしゃるでしょう。

その場合は「RAST」と言って、好きな項目を調べるパターンもあります。この時は10項目4000円程度になります。

こう考えると、VIEW39項目をRASTで測ると15000円くらいになってしまうので、「スクリーニングでまず調べたい」という場合はVIEW39の方が圧倒的にコストパフォーマンスが高いといえるでしょう。ただし、検査項目を変更することができないのがデメリットになります。

「アレルギー検査」の信頼性は?

では、アレルギー検査の信頼性はどれくらいあるのでしょうか。実はすべてのアレルギー検査の約50%~60%は「偽陽性(間違って陽性と判定されること)」の可能性があります。そのため、臨床症状ときちんとあっているかどうかを考える必要があります。

さらに、その物質に反応したIgE抗体の量が高ければ高いほど正確性は上がりますね。

また、アレルギー検査の中でも吸入アレルゲンといって、皮ふやのど・鼻・気管支を介して吸収されるアレルゲンの特異的IgE検査は、比較的臨床症状と合致しやすい検査です。例えば、ダニ・ハウスダスト・花粉・カビ・イヌやネコ皮屑などがあげられます。

一方、食物アレルギーに対してはあくまで「補助的診断」です。特異的IgE抗体価と症状発現可能性は、上図のような「プロバビリティーカーブ」になると考えられています。しかし、これも血清総IgE 値や年齢などによっても大きく異なってしまうのです。

そのため「血液検査の数値が高い=厳格な食事制限」ではありません。確定診断するためには、食物誘発試験などさらに踏み込んだ試験を行う必要がありますので注意が必要です。

(参照:食物アレルギー研究会による学校における対応
(参照:厚生労働省補助事業 アレルギー疾患の手引き
(参照:食物アレルギー診療ガイドライン2021ダイジェスト版

ちなみに、よく似た検査に血中食物抗原特異的IgG検査があります。自費で219項目で調べているクリニックもありますね。遅延型アレルギーと呼ばれるタイプのアレルギー検査です。

こちらは、米国や欧州のアレルギー学会、日本小児アレルギー学会が診断的有用性を公式に否定している通り、食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しておりません。ご注意ください。

(参照:日本アレルギー学会「〔学会見解〕血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起」

アレルギー検査「VIEW39」は何科で受けることができる?

VIEW39を含めたアレルギー検査は、アレルギー疾患を扱っている「内科」「皮膚科」「耳鼻科」「小児科」などで受けることができます。「アレルギー科」を標ぼうしている医院もありますね。ただし、取り扱っているアレルギー検査が異なっていることもあり、「特にこの項目が知りたい」などという場合には事前に問い合わせたほうがよいでしょう。

また、VIEW39以外のアレルギー項目を知りたい場合は200項目以上取り扱いがありますが、ご要望に応えられない項目もあります。(例えばキノコ類などはありません)

その場合でも、似たアレルゲンの検査をすすめながら、わかる範囲でアドバイスさせていただきます。また、他院で行ったアレルギー検査の結果を元にアドバイスすることもできますので、どうぞ気軽にご相談ください。

アレルギー検査についてのQ&A

Q: アレルギー検査はいつできますか?

A: 当日にすることができますので、お気軽にご相談ください。

Q: アレルギー検査はどれくらいで結果がわかりますか?

A: 約1週間で分かります。結果がわかっているか確実に知りたい方は事前にお電話いただけますと幸いです。

Q: アレルギー検査では、抗ヒスタミン薬や吸入ステロイド薬などを中止する必要はありますか?

A: 抗ヒスタミン薬や吸入ステロイド薬もどちらも中止する必要はありません。

(参考:厚生労働省補助事業 アレルギー疾患の手引き

Q: 血液検査の結果で、アレルギー症状をなくすことはできるのですか?

A: アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬の内服の他に、アレルゲンの種類によっては「減感作療法」といって、アレルゲンを摂取することでアレルギー反応を抑える治療があります。当院ではスギやダニ・ハウスダストの減感作療法できますので、遠慮なくご相談ください。

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【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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