男性の頻尿で多い前立腺肥大症について【症状・治療・食事】

こんにちは、一之江駅前ひまわり医院です。突然ですが男性の方で

  • 夜何度もトイレに起きてよく眠れない
  • 仕事や会議中にすぐトイレに行きたくなる
  • トイレのために長時間の外出を避けている
  • トイレは近いが、「年のせいだろう」とあきらめてしまっている

という方はいませんか?当院では尿検査やエコー検査・血液検査を行いながら、男性の頻尿に対する治療も行っております。

男性の頻尿の原因は?

例えば夜間頻用の原因として以下があげられます。

  • 膀胱の容量が減少や十分機能しない: 過活動膀胱・前立腺肥大症・膀胱炎・尿道炎・神経因性膀胱など
  • 尿量自体が多い: 糖尿病・尿崩症・原発性多尿症・飲水過剰・うっ血性心不全・慢性腎不全など
  • 尿に関わる神経の異常:自律神経の活動亢進・・パーキンソン病・認知症
  • 睡眠障害・不眠症: 不眠症・睡眠時無呼吸症候群など
  • その他:不安神経症・ホルモン異常・閉塞性肺疾患・薬剤性など

このように夜間頻尿にも様々な原因があります。(Acta Physiol (Oxf). 2013 Jan;207(1):53-65.

その中で他の尿トラブル(頻尿や尿が途中で途切れる)などがある場合、頻度が多いのが「前立腺肥大症」と「過活動膀胱」になります。

過活動膀胱については過活動膀胱について【症状・検査・治療薬】を参照していただき、男性特有の頻尿の原因になる「前立腺肥大症」について説明していきます。

前立腺肥大症とは?

前立腺肥大症とは、膀胱と尿道の間にある「前立腺」が肥大して尿道を圧迫し、尿が出にくくなる疾患です。

前立腺は、男性だけにある臓器です。膀胱から尿道に続く部分に取り囲むようにしてあり、前立腺液を分泌します。

前立腺液は精液の一部となり、精子の保護や精子の運動機能を助ける役割があります。そのため前立腺肥大症は男性ホルモンと大きく関係し、中高年になって男性ホルモンを含む性ホルモン環境の変化が起こることにより発症すると考えられています。

前立腺肥大症は、実は多くの男性が悩む疾患です。厚生労働省の患者調査によると、年間40万人~50万人の方が前立腺肥大症で受診されています。さらに、55歳以上の男性の5人に1人が前立腺肥大症による尿トラブルがあるとする報告もあり、医療機関に受診しない「隠れ前立腺肥大症」の方も多くいるのではと推測されています。

前立腺肥大症の症状は?

前立腺肥大症に伴う尿の症状は以下の通りです。

  • 排尿後、まだ尿が残っている感じがする
  • 普段からトイレが近い
  • 尿が途中でとぎれる
  • 急に尿意を催し、もれそうで我慢できない
  • 尿の勢いが弱い
  • お腹に力を入れないと尿が出ない
  • 夜中に何度もトイレに起きる

症状にあてはまる項目が多いほど、前立腺肥大の可能性が高くなります。また、これらの症状をもとにしたチェック方法である「IPSS(国際前立腺症状スコア)」も有名です。以下の表でどれくらい当てはまっているかチェックしてみるのもよいでしょう。

合計点数が0~7点が「軽度の症状」8~19点が「中等度の症状」20~35点が「重度の症状」にあたります。

前立腺肥大症の検査は?

当院で行われる検査としては以下の通りです。

① 問診

どのような尿トラブルがあるのか、詳細に聞かせていただきます。上記のような問診票をつかったり、具体的なエピソードを聞かせていただく場合もあります。

② 血液検査

腎臓の働きや前立腺がんがないかどうかなどを中心に、血液検査を行います。前述のように「頻尿=前立腺肥大」ではなく、多くの疾患が頻尿にかかわる可能性があるからです。

③ 尿検査

尿は腎臓や泌尿器の診療には欠かせない貴重なサンプルです。尿に血が混じっていないか、細菌がいないかなどを中心に詳しく調べます。

④ 超音波検査

膀胱に残っている尿の量や前立腺の大きさ、膀胱壁の異常や腎臓の異常などを超音波検査で詳しく調べます。詳細は超音波検査(エコー検査)でわかること【原理・目的・費用】も参考にしてください。

他、施設によっては尿流量測定が行われる場合もあります。また、検査の結果、ほかの疾患に伴うことが原因と考えられる場合は、適切な連携施設に紹介させていただきます。

前立腺肥大症の治療薬は?

前立腺肥大症による治療薬を大きく分けると「α1受容体遮断薬」と「男性ホルモンの働きを抑える薬」「漢方薬」などに分かれます。

① α1受容体遮断薬

前立腺肥大症が疑われる方に最初に使われるといってよい治療薬です。前立腺を収縮させる「ノルアドレナリン」という物質をブロックする薬で、前立腺の過剰な収縮を抑えます。

具体的な薬剤としては「タムスロシン」「ナフトピジル」「シロジドン」などがあります。非常に多くの臨床試験で有効性は確認されている薬で、前立腺肥大症ガイドラインでもGradeA(非常に強く推奨する)に分類されています。

主な副作用はめまいやふらふら感です。これはノルアドレナリンが血圧をあげる作用があり、それをブロックすることで血圧を下げるために起こります。その他、かゆみ・発疹・じんま疹・胃不快感などが報告されています。

② 男性ホルモンを抑える薬

前立腺肥大症は男性ホルモンが大きく関わっているため、男性ホルモンの働きを抑えることで発症が抑制されるのも納得でしょう。

主な薬剤として、効果が最も確認されているのは「デュタステリド」です。国内での臨床試験(第III相)では、デュタステリドを投与すると、投与24週後から有意な前立腺体積の減少・投与36週から質問票での改善も見られています。(減少率22%)

さらに、前述のタムスロシンと併用することでさらに効果を発揮します。

しかし、副作用として男性機能が低下する恐れがあるほか、前立腺がんのマーカーであるPSAが半減しますので、PSAを測定する際には注意が必要になります。

③ そのほかの薬

そのほかにも植物由来の成分により前立腺の炎症を改善するとされる「エピプロスタット®」「セルニルトン®」や頻尿の改善効果を期待できる漢方薬「八味地黄丸」「牛車腎気丸」などがあります。

上記2つよりは古い報告が多いことなどを受け、 前立腺肥大症ガイドラインではGradeC1(根拠が明確でないが、行ってもよい)に分類されています。

副作用が少ないことも特徴なので、「マイルドに治療してみたい」という方にはよいでしょう。

薬以外の治療として、前立腺切除術のほか、レーザーにや超音波による治療もあります。薬以外の治療を希望される方は、泌尿器科専門の連携施設にご紹介いたします。

前立腺肥大に推奨される食事は?

前立腺肥大症ガイドラインで推奨されている、食事内容としては以下があげられています。

① 野菜を積極的に食べる

特に成分では「βカロテンやルテイン・ビタミンCが豊富な果物や野菜をとった方は、前立腺肥大になりにくい」という臨床データがあります。(詳細はこちら

それぞれの成分が多い食べ物としては次の通りです。

  • βカロテン:にんじん・かぼちゃ・ほうれん草・スイカ・みかんなど
  • ルテイン:ほうれん草・アボカド・乾燥プルーン・小松菜など
  • ビタミンC:キャベツ・ブロッコリー・いちご・キウイなど

ほか「タマネギやニンニクを多く食べた方は前立腺肥大になりにくい」とする臨床データもあります。(詳細はこちら

しかし、当然ですが食事の基本は「バランス」です。単一の成分にとらわれず、色々な種類の野菜を食べるした方がよいですね。

② 穀類や肉類は控える

前立腺肥大症の手術治療を受けた1369人とコントロール群1451人を対象とした比較試験では、穀物やパン・卵や肉類の摂取量が前立腺肥大症の方で多かったと結論しています。

さらに同研究では、スープ・豆類・野菜や柑橘系の果物の摂取が多いと、逆に前立腺肥大になりにくいとしていました。

この研究はイタリアの研究であり、日本と食生活は異なりますが、参考にするとよいでしょう。(詳細はこちら

③ 不飽和脂肪酸をとるようにする

不飽和脂肪酸とは、脂肪の構成要素のうち、植物や魚に多く含まれる脂肪酸のこと。体内で合成できないため、食べ物で補う必要があります。

よく悪玉コレステロールで知られる「LDLコレステロール」を下げる働きとしてしられていますが(詳細はこちら)、前立腺肥大症の発症抑制にも不飽和脂肪酸が効果的であるというデータがあります。(詳細はこちら

不飽和脂肪酸は魚油(青魚)・植物油・クルミ・エゴマ・アボガドなどに多く含まれていますので、前立腺肥大を予防する意味で意識してみてもよいでしょう。(バランスを大切に)

④ 水分管理はしっかりと

特に夜間頻尿に困っているなら、水分管理はとても大切です。アルコールや刺激の強い食べ物は利尿作用があり、頻尿を誘発させます。寝る前の水分の摂りすぎにも要注意。

他、カフェインが入っている飲み物を夕方からとると、利尿作用だけでなく不眠から夜間頻尿にもつながっていきます。

⑤ 適度な運動や冷え対策も効果的

冷えると膀胱の収縮が起きるので、頻尿につながりやすくなります。適度な運動を心がけ、便秘しないようにすることで過活動膀胱が改善されるというデータも。前立腺肥大の方は過活動膀胱と重なることもあるので、 過活動膀胱について【症状・検査・治療薬】 も参考にしてください。

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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