息苦しい原因は?慢性閉塞性肺疾患(COPD)について【症状・検査・治療法】

  • 最近、階段を上るときに息が上がってしまう
  • 年々、たくさん歩くのは大変と感じてしまう
  • 前を書かむと息苦しく、咳が続いて眠れない

といったことはありませんか?もし過去にタバコを吸っていたのなら、慢性閉塞性肺疾患(COPD)かもしれません。一之江駅前ひまわり医院では、禁煙外来と共に慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診療も行っております。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは?

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは「ずっと(=慢性)肺や気管支に炎症が起き続け、気管支が細くなり(=閉塞性)、息切れを起こす疾患の総称」です。

日本生活習慣病予防協会の発表によると40歳以上のCOPDの推定患者数は530万人(人口の約8.6%)といわれており、年間の死亡数は2017年に1万8523人にものぼります。(詳細はこちら

WHOの発表によるとCOPDは「虚血性心疾患」「脳卒中」に次ぐ世界の死因の第3位であり、COPDの患者さんが肺がんになる確率は約5倍になることもわかっています。(Skillrud DM, et al: Ann Intern Med. 105: 503-7,1986

しかし2008年の厚生労働省の統計によると、COPDで実際に治療を受けている患者さんは22万人しかいません。多くの患者さんが未治療の状態であり、医療的な介入がまだまだ及んでいない疾患の1つです。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因は?

慢性閉塞せい肺疾患(COPD)の最も大きい原因はタバコの煙です。(受動喫煙・関節喫煙を含みます)

COPDの方の9割で喫煙歴があるといわれ、逆に喫煙者の15%~20%がCOPDを発症します(Annu Rev Med. 1989;40:411-29)。他の原因や誘因因子として、下記があげられます。(WHOの報告による)

  • 粉塵・煙や化学物質を仕事柄吸い込む機会がある
  • 室内の空気汚染:石炭や煙・動物の糞・木材の燃料などにさらされる機会が多い
  • もともと未熟児や小児期の呼吸器感染症をもつ過去がある
  • 小児期の喘息を持っている
  • α1アンチトリプシン血症を持っている

こうした肺の炎症を誘発する原因があると、徐々には肺の奥にある肺胞(はいほう)が壊されて、酸素の取り込みや二酸化炭素を排出する力が衰えていきます。一度肺胞が壊されてしまうと、肺胞が元に戻ることはないので、早めのケアが必要です。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状は?

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主な症状は、「長引くせきやたん」と「息切れ」です。

高齢になるほど喫煙歴も長くなり症状も現れやすくなるので、風邪や年のせいと考えてそのままにしてしまうこともあります。

  • 同世代と比べて風邪の治りが悪いし、頻度が多い
  • 一緒に歩いていると自分だけペースが遅くなってしまう

などがありましたら、まさに慢性閉塞性肺疾患の可能性があるので、早めにかかりつけの病院に相談しましょう。もちろん当院にも気軽にご相談ください。

またCOPDは肺だけの疾患ではありません。下記のような全身に影響を与えると考えられていますので、併存症にも注意が必要です。

  • 不安・抑うつ症状:合併率は10-42%とされる(Chest 134 : 43S―56S, 2008
  • 心・血管疾患
  • 骨粗しょう症
  • 消化器疾患(消化性潰瘍や胃食道逆流症など)
  • 肺がん
  • 緑内障・排尿困難:COPDで頻用される抗コリン薬が禁忌
  • 糖尿病

特にCOPDの方はじっとしていれば息切れを起こしにくくなるので、無意識のうちに活動しなくなります。するとCOPDが元でうつ傾向になり、体力や筋力も落ち、さらに息切れが悪化するという悪循環になることがわかっています。(Am J Med. 2006 Oct;119(10 Suppl 1):32-7)

さらにCOPDは進行していくのが特徴です。放っておくと、呼吸の状態をもとに戻すことが難しくなります。また、風邪などをきっかけに症状が悪化していき(増悪と呼びます)、増悪を繰り返してCOPDが重症化すると酸素吸入が常に必要になる場合があります。

COPDの経過:Hansel TT, et al. Lancet. 2009; 374(9691): 744-755.より改変

そのため早めにクリニックや医院に相談し、初期から症状をコントロールすることが大切です。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の検査は?

当院では問診や身体診察も大切な診察ですが、他に主に以下の検査を組み合わせて行います。

  • スパイロメーター:現在の呼吸機能を測定します。COPDの主要な検査の1つです。実際に息を吸ったり吐いたりしてもらい、呼吸の状態を数値化して進行程度を判断します。
  • 血液検査: 併存疾患の有無や、全身状態の把握をするために検査してフォローすることがあります。
  • CT検査: レントゲン検査よりも鋭敏に肺胞の状態を把握します。また増悪した場合の把握にも使用されることがあります。当院では近隣の検査センターを提携しながら診療を行っております。

この中で最も大切な検査はスパイロメーターによる呼吸機能検査であり、重症度把握に用いられる指標として大切なのは「%FEV(%1秒量)」です。「%1秒率量」とは「年齢や身長から求めた1秒量の標準値に対する割合」で下記のように重症度が決定されます。

病期定義
I期(軽度の気流閉塞)%FEV1 ≧ 80%
II期(中等度の気流閉塞)50% ≦ %FEV1 < 80%
III期(重度の気流閉塞)30% ≦ %FEV1 < 50%
IV期(きわめて重度の気流閉塞)%FEV1 < 30%

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療は?

① 禁煙

まずは気道の炎症の主要な原因であるタバコを止めるのが最も大切です。薬物療法や運動療法は、現在ある呼吸機能を温存し、少しでも進行を遅らせるのが目的です。

タバコを止めずに下記2つの治療法だけ続けるのは、火元を消さずに症状だけなんとか抑えようとするようなもの。当院では禁煙外来も行っておりますので、ぜひご相談ください。(詳細は禁煙外来と禁煙補助薬(チャンピックス・ニコチンパッチ)について【成功率・費用・副作用】も参照してください)

② 薬物療法

COPDの薬物治療には主に下記があげられます。

  • 気管支拡張薬:狭くなった気管支を広げる薬で、呼吸が楽になります。貼り薬や飲み薬もありますが、最も中心的な薬は吸入薬です。COPDの薬物治療では最も重要な薬となります。
  • 吸入ステロイド: 気管支拡張薬と一緒に使うことで呼吸を楽にします。また喘息を併発している例もあり、吸入ステロイドを使用することがあります。
  • 経口ステロイド: 急な増悪の時に短期的に使用されることがあります。
  • 去痰薬: たんの切れをよくする薬です。増悪する可能性を抑えます。
  • 抗菌薬: 細菌感染による肺炎などの症状に使います

状況に合わせてこれらの薬を組み合わせて使用し、症状のコントロールを行っていきます。日頃の行動や息切れの状況も身体所見や検査値以上に大切なので、普段のコミュニケーションが大切です。

③ 運動療法

呼吸リハビリテーションは薬物療法により症状が安定している患者さんでも、さらに上乗せの改善効果を測ることができます。トレーニング方法も「柔軟性トレーニング」や「全身持久力トレーニング」「筋力トレーニング」など様々です。

1人ひとり適切な運動強度は違いますので、運動療法を行いたい方はぜひご相談ください。一般的な注意点としては下記になります。

  • ややキツイ程度の運動が必要です。軽い運動では効果が低いことが多いです。
  • 継続するとことが大切です。
  • 痰が多い方は、痰をしっかり出してから運動してください。
  • 体調が悪い時は無理をしないようにしましょう。
  • できるだけ口すぼめ呼吸や腹式呼吸を使って、運動を行いましょう。

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【この記事を書いた人】 
一之江ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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