帯状疱疹や帯状疱疹ワクチン【弱毒水痘ワクチン・シングリックス®】について

一之江駅前ひまわり医院では、帯状疱疹の治療はもちろんのこと、帯状疱疹ワクチン(弱毒生ワクチン・シングリックス®)の接種も行っております。

帯状疱疹とは

帯状疱疹とは、水ぶくれを伴う赤い発疹が左右どちらかが帯状に出る皮膚疾患です。体だけでなく顔や頭にも出ることがあります。強い痛みを伴うことが多く、症状は通常3~4週ほど続きます。
顔にでた場合、目や耳の症状がでることもあります。


さらに、帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれる痛みが残ることがあり、50歳以上で帯状疱疹になった約2割といわれています。帯状疱疹後神経痛は、6か月から1年以上になることもあります。

帯状疱疹は、多くの方が子供のころにかかる「水ぼうそう」のウイルスが原因です。ウイルスが、水ぼうそうの後神経に潜伏し、ストレスや免疫力が下がったことをきっかけに「再活性化」し、帯状疱疹として発症します。
帯状疱疹は50歳代から発症率が高くなり、80歳までの約3人に1人がかかります。決してまれな疾患ではないのです。(国立感染症研究所 感染症疫学センター IASR. 2013, 34, p. 298-300.)

このように、帯状疱疹は帯状疱疹後神経痛になると、後々まで長く悩まされる疾患であり、予防がとても大切です。
当院では、帯状疱疹神経痛に対しても治療を行っておりますが、場合によってはペインクリニックへの紹介もさせていただきます。

帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹ワクチンには、「ビケン製の生ワクチン」と「シングリックス®」の2種類があります。

「ビケン」製の帯状疱疹ワクチンは、弱毒化された生きたウイルスが含まれています(生ワクチン)。小児に使用する水痘ワクチンですが、2016年から帯状疱疹予防として認可されています。

一方、「シングリックス®」は帯状疱疹を予防するために独自に開発されたワクチンで、サブユニットワクチンという種類のものです。ウイルス表面タンパクの一部を抗原とした組換えワクチンで、生ワクチンではありません。

費用は次の通りです。(シングリックス®は2回接種)(接種希望の方は事前に連絡をお願いします)

従来の帯状疱疹ワクチン8000円(税込)
シングリックス® 1回 22000円(税込)

また一部帯状疱疹ワクチンの助成が受けられる地区・自治体があります。例えば「名古屋市」「文京区」「刈谷市」などです。(順不同)

特にシングリックス®の場合は高額になるので、お住まいの自治体に確認してみるとよいでしょう。(また他に助成が受けられる自治体がありましたら、コメントいただけますと幸いです。アップデートします。)

従来の帯状疱疹ワクチンと「シングリックス®」の違いは?

わかりやすいように大雑把に説明すると

・ シングリックスのほうが独自に開発されたこともあり、高価
・ 予防効果は「シングリックス®」のほうが高い
・ 「シングリックス®」は免疫がさがった人にも接種できる(慎重に接種する必要はあるが、禁忌ではない)

というのが主な違いです。順番にくわしく見ていきましょう。

帯状疱疹ワクチンの効果

従来の帯状疱疹ワクチンの場合

アメリカの調査では、同ワクチンにより帯状疱疹の発生率が51.3%減少、帯状疱疹後神経痛の発生率も66.5%減りました。帯状疱疹の重症度も61.1%低下したと報告されています。

しかし、帯状疱疹予防効果は接種後3~11年で予防効果が減弱すると報告している論文もあり、ずっと効果が続くわけでない点に注意が必要です。(Schmader KE, Levin MJ, et al : Clin Infect Dis 54:922-928,2012

「シングリックス®」の場合

「シングリックス®」は従来のワクチン(水痘ワクチン)に比べて帯状疱疹を予防する効果が高く
50歳以上で97.2%、70歳以上で89.8%の発症予防効果が認められています。
Lal H. et al.: N Engl J Med. 372(22), 2087-2096, 2015)(Cunningham AL. et al.: N Engl J Med. 375(11), 1019-1032, 2016

また、発症予防効果が少なくとも9年間たっても認められているのが、「シングリックス®」の特徴です。
Schwarz TF. et al.: Hum Vaccin Immunother. 14(6), 1370-1377, 2018

まとめると「帯状疱疹を絶対に予防したい」と考えるなら、高価ではありますが「シングリックス®」
「少し心配だけど、そこまでお金はかけたくない」と考えるなら「従来の帯状疱疹ワクチン」になります。

(シングリックス®でも、前述の通り予防効果が100%ではないことは注意してください)

帯状疱疹ワクチンの対象者は?

従来の帯状疱疹ワクチンの場合

50歳以上の方が原則対象になります。(任意接種であり、1回接種です)
過去に帯状疱疹にかかっていても接種できます。
逆に、帯状疱疹ワクチンを受けてはいけない方としては、

  • 化学療法やステロイドなど免疫を抑える治療をしている方
  • 免疫力が落ちている方(HIV感染)
  • 妊娠していることが明らかな方
  • 水痘ワクチンによる強いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を起こしたことがある方
  • カナマイシン、エリスロマイシンの抗生剤にアレルギー反応を起こした方
    (ワクチンにこれらの抗生剤の成分が入っています)

があげられます。なお、ワクチン接種後、2か月間は妊娠を避けてください。

「シングリックス®」の場合

接種対象年齢は、従来の帯状疱疹ワクチンと同じく50歳以上となります。
過去に帯状疱疹にかかっていても接種できます。

しかし、以下に当てはまる方は接種を行ってはいけません。

  • 明らかな発熱(通常37.5℃以上)がある方
  • 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
  • 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな方
  • 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある方

以下の方は接種に対して「慎重に」投与する方になります。(絶対に接種を行ってはいけないわけではありません)

  • 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患等の基礎疾患がある方
  • 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方
  • 本剤の成分に対して、アレルギーを呈するおそれのある方
  • 過去に痙攣したことがある方
  • 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる方
  • 血小板減少症や凝固障害を有する者、抗凝固療法を施行している方

帯状疱疹ワクチンの副反応

従来の帯状疱疹ワクチンの場合

ワクチン接種による疼痛や腫れなどの一般的な副反応以外に、水痘ワクチンに特異的な副反応としては接種後1-3週間後に発熱や、2-3%に全身性の水痘様発疹がみられることがあります。副反応がでた方は、早めに当院にご相談ください。

「シングリックス®」の場合


シングリックス®接種後7日間に起こった主な副反応としては注射部位の痛み78% 赤み38% 腫れ26%という結果になっています。
全身性の副反応では筋肉痛40%、疲労39%、頭痛33%、悪寒24%、発熱18%、胃腸症状13%です。これは体の中で強い免疫をつくろうとするためといわれており、7日以内に多くの副反応は弱くなっていきます。(Lal H. et al.: N Engl J Med. 372(22), 2087-2096, 2015)(Cunningham AL. et al.: N Engl J Med. 375(11), 1019-1032, 2016

帯状疱疹ワクチンを受けた後、日常生活の注意点は?

従来の帯状疱疹ワクチンでも「シングリックス®」の場合でも、

  • 接種部位は清潔に保つ
  • 接種当日は激しい運動は控える
  • 接種部位をこすったりもんだりしない

ことが大切です。お風呂は入っていただいてかまいません。接種後1週間は副反応の出現に注意し、気になる症状が現れた場合は速やかに当院に連絡してください。

帯状疱疹ワクチンの接種スケジュールは?

従来の帯状疱疹ワクチンの場合

生ワクチンなので、1回接種のみになります。他のワクチンとの接種間隔については

  • 不活化ワクチン(インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンなど):接種間隔の制限はありません
  • 新型コロナワクチン: 新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種できません。 新型コロナワクチンとその他のワクチンは、お互い片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます。(厚生労働省HP
  • 他の生ワクチン(BCG、MR[麻疹・風疹ワクチンなど]):27日あけて接種をお願いいたします。(参照:厚生労働省 ワクチンの接種間隔について

「シングリックス®」の場合

「シングリックス®」は筋肉注射で2か月後に2回目の接種を行います。
ちょうど2か月後が望ましいですが、なんらかの事情で接種困難な場合でも6か月以内に接種する必要があります。

他のワクチンとの接種間隔については

  • 不活化ワクチン(インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンなど): 接種間隔に制限はありません。
  • 新型コロナワクチン: 新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種できません。 新型コロナワクチンとその他のワクチンは、お互い片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます。(厚生労働省HP
  • 生ワクチン(BCG、MR[麻疹・風疹ワクチンなど]): 接種間隔に制限はありません。

こちらもおすすめです

Shingles vaccine in Japan (Abstract)

  • Shingles vaccination is the only way to protect against shingles and postherpetic neuralgia (PHN), the most common complication from shingles.
  • People looking to receive the shingles vaccine now have two options; Shingrix® and conventional shingles vaccine (live vaccine)
  • Shingrix is more effective than conventional shingles vaccine ( 50-more than 90% vs. 50-60% effective at preventing shingles and PHN), but very expensive.( Shingrix®: 44000 yen vs. Conventional: 8000 yen)
  • Shingrix is a nonliving vaccine made of a virus component. It’s given in two doses, with two to six months between doses. Conventional shingles vaccine is live vaccine and needed only at one time.
  • Click here for details: Shingles Vaccination on CDC

【この記事を書いた人】 
一之江ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

関連記事

  1. B型肝炎と大人(成人)のB型肝炎ワクチンについて【費用・スケ…

  2. 肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス®・プレベナー13®)につ…

  3. 大人の麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)接種について【…

  4. 医療従事者の接種が推奨されるワクチンの種類について【新型コロ…

  5. インフルエンザワクチン(予防接種)【供給量・値段・効果】につ…

  6. 怪我で破傷風ワクチン(トキソイド)を打つ場合は?効果や保険適…

ピックアップ記事

新着記事 おすすめ記事
PAGE TOP