ダニ刺されの特徴について解説【症状・薬・治らない時やダニ対策】

こんにちは、一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介です。突然ですが、

  • 季節を問わず鼻水や目のかゆみがでてしまって困る
  • 毎回、虫刺されの時期でもないのに、ブツブツした赤みとかゆみがでる
  • 咳が夜中を中心に出て、特に実家など特定の場所にいくとさらに悪化する

という方はいらっしゃいませんか?もしかしたらその症状、ダニ刺されによるアレルギー反応かもしれません。今回はダニ刺されの具体的な症状の特徴や治療、ダニ対策について解説していきます。

わかりやすく解説した動画も最後にありますので、ぜひあわせてご参照ください。

ダニ刺されの症状の特徴は?

(イエダニの皮膚所見:日本皮膚科学会より転載、特徴がわかりやすいように明るさを調整)

ダニ刺されとは、文字通り「ダニに刺されて生じる虫刺され様の皮疹」のこと。通常、ダニ刺されの症状の特徴として

  • 盛り上がるようなかたい「しこり」の状態になること
  • 強いかゆみが出やすく、かきやすいこと。
  • 太ももやお腹・上腕部の内側など、やわらかい箇所が多いこと(疥癬などは全身)

があげられます。蚊よりは皮疹が小さい傾向にありますね。主に室内で刺されることが多く、代表的な室内ダニは「イエダニ」と「ツメダニ」です。

  • イエダニ: 体長0.8mm前後のダニです。室内ではネズミや鳥類に寄生していますが、ヒトも吸血することがあります。古い一戸建てでネズミが生息するような家では被害が出やすいとされています。夏場に繁殖時期を迎えます。
  • ツメダニ: 体長0.6mm前後のダニです。ヒョウヒダニやコナダニなどを捕まえて生息するダニですが、夜間就寝中にはい出て、傷口から唾液を入れ、人の体液を吸います。建築後2年~3年経過した家屋や新しい畳などで、ヒョウヒダニやコナダニが大発生すると、ツメダニも大発生する場合があります。

意外と患者さんと医療者との意識のずれが大きいのが「ダニ刺され」で、「これってダニかな?」と患者さんが思って受診しても実際に見ると違っていることがよくあります。

また特殊なダニとしてマダニと疥癬があり、通常のダニとは治療方法が異なるので注意が必要です。

ダニ刺されにはステロイド?他の薬は?

では皮膚科ではダニ刺されに対してどのような薬を使うのでしょうか。以下のような薬を使用することが一般的です。

  • 炎症を抑える塗り薬:ダニ刺されの炎症は非常に強く、強いステロイド軟膏を使用することが多いです。
  • かゆみを抑える飲み薬:ダニに対するアレルギー反応が非常に強い場合や、ダニ刺されのかゆみが強い場合は、かゆみを抑える飲み薬
  • かきむしり化膿した場合の抗生剤の塗り薬:かきむしり雑菌が入り場合、ステロイド軟膏では悪化することがあり、抗生剤の軟膏に切り替えることもあります。
  • 特殊なダニに対する治療薬:マダニや疥癬といった治療の場合は、抗生剤であるミノマイシンや駆虫薬であるイベルメクチンなど、通常のダニ刺されと全く異なる薬を使うことがあります。

ダニ刺されの薬は、軽症なら市販薬でかまいませんが、後述する下記のケースでは皮膚科に来院する必要があります。

ダニ刺されで治らない時は皮膚科に受診を

よく一生懸命がまんして、市販薬や以前もらった薬で対処することがあります。(忙しいですし、気持ちはわかります)もちろん治れば問題ありませんが、ダニ刺されが治らない時は皮膚科に受診するようにしましょう。特に以下のケースでは、早めの受診をオススメします。

  • 自分の皮膚症状がダニ刺されかはっきりしない時:意外とヘルペスや帯状疱疹などの感染症や別の症状だった…ということもよくあります。
  • ダニ刺されの腫れが強い時:通常ダニ刺されで使用される薬は、市販薬よりも強い薬を使用することが多く、かゆみで掻きこわし自分で悪化させてしまうケースをよく経験します。
  • 特殊のダニ刺されが疑われる時:特にマダニや疥癬などの場合は、抗生剤や駆虫薬など早急な治療が必要であり、マダニの場合は実際に取り除く処置が大切になります。(自分でマダニをとろうとしては、本当にいけません

また、ダニ刺されの跡に対しても当院ではフォローさせていただきながら、個別に治療しております。

いずれにせよ、ダニ刺されの薬による治療は現在の皮膚症状を抑えているだけです。何より大切なのは、繰り返さないように、後述するダニ退治(ダニ対策)をしっかりすることが大切です。

ダニ刺されの対策は?ダニ退治の方法について

日本アレルギー学会による「ダニアレルギーにおけるアレルゲン免疫療法の手引き」では、下記が推奨されています。(原文まま)それぞれのライフスタイルもあるので全て実行するのは難しいこともありますが、できる範囲で行うとよいでしょう。

①常に室内を清潔にし、ダニが繁殖しやすい環境(室内温度25℃以上、相対湿度60%以上)を避け、室内の清潔や通気を心がける。
②ダニが繁殖しやすい絨毯や布製ソファなどの使用は避け、フローリングの床が望ましい。
③床や畳の掃除機かけは、1回20秒/m2の時間をかけて毎日行うことが望ましい。
④寝具の管理は重要であり、寝具への掃除機かけは、20秒/m2の時間をかけて週1回以上行う。シーツや寝具はこまめに交換や洗濯することが望ましい。
⑤優れた品質の防ダニシーツの効果はある程度望めるが、殺ダニ剤の使用は推奨されない
⑥年1回は室内の徹底した大掃除が必要である。
⑦室内ペット(犬、猫、うさぎ、げっ歯類など)飼育は、ペットアレルゲンの新規感作やダニアレルゲンの増加をもたらすため避ける

他には、

  • ダニのエサになる「フケ」「アカ」「食べ残し」などを放置しない
  • イエダニの場合はネズミの駆除を行うこと(ネズミが媒介者になるため)
  • ダニは50℃以上10~20分処理すると死滅するため、寝具を乾燥機にかけお風呂で熱消毒する
  • パジャマや寝衣を毎日交換する
  • (疥癬の場合)入浴時のタオルなど肌に直接ふれるものは自分だけで使用する
  • (疥癬の場合)入浴の際は手足の指の間や外陰部も丁寧に洗う

なども大切です。特にダニが繁殖しやすい5月~10月には特に気を付けたほうがよいですね。患者さんのライフスタイルに合わせて個別にアドバイスしますので、ぜひご相談いただけたら幸いです。

【この記事を書いた人】 

一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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わかりやすく動画でも解説しています

更新履歴

  • 5月26日:内容について見やすくなるように大幅改訂

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