肺炎球菌ワクチンについて【効果・費用・助成】

2021年5月から新型コロナワクチンが高齢者中心に接種が進んでいますが、他の感染症の脅威がなくなったわけではありません。特に新型コロナワクチン帯状疱疹ワクチンに次いで高齢者中心に接種していただきたいワクチンの1つが「肺炎球菌ワクチン」です。

肺炎球菌感染症とは?

(肺炎球菌の電子顕微鏡写真:厚生労働省新興・再興感染症事業より抜粋)

肺炎球菌感染症は、写真のように硬い莢膜に囲まれた「肺炎球菌」による感染症のことです。市中肺炎の原因菌の第一位であるほか(呼吸器学会HP参照)、意外にも髄膜炎や中耳炎・副鼻腔炎・関節炎・心内膜炎などの原因にもなります。

実際には、90種類以上の「肺炎球菌」がありますが、重篤な感染症に至るのは数種類です。
肺炎球菌は通常は気道にすみつき、特に冬期と春の初めによくみられる。空気中の飛沫によって感染が拡大していきます。

肺炎球菌感染症に特に注意する人は?

特に肺炎球菌感染症が重症化しやすい方は次のような人です。

  • 慢性的な病気の方(心不全や慢性肺疾患・糖尿病・肝疾患・アルコール依存症の方など)
  • 菌から身体を守る免疫機能が低下している方
  • 手術やもともとの解剖的な理由で脾臓がない方
  • 長期療養施設に入居している方
  • タバコを吸われている方
  • 65歳以上の高齢者の方

などです。(詳細はこちら)少なくとも上記にあてはまる方は、特に肺炎球菌ワクチンを早めに接種するとよいでしょう。

肺炎球菌ワクチンの効果は?

当院含めて高齢者の定期接種で使用されるワクチンは「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」という種類のワクチンです。

このワクチンはその名の通り、23種類の血清型(肺炎球菌のタイプのこと)に効果的です。この23種類の血清型は成人の重症の肺炎球菌感染症の原因の64%を占めるという研究結果があります。

また、日本呼吸器学会では高齢者の肺炎予防に対して、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの2つのワクチンの併用が強く推奨されています。(成人肺炎ガイドラインによる)

ただし、国内の市中肺炎に関する発生予防効果は33.5%という報告もあり、(H30年厚生労働省ファクトシートによる)「肺炎球菌ワクチンをうったから必ず肺炎球菌にかからなくなる」というわけではないので、注意が必要です。

肺炎球菌ワクチンは「不活化ワクチン」という菌の一部を不活化(感染力)を失わせて、接種する方法です。効果時間としては5年以上といわれています。

しかし、再接種したほうが効果が高まることがわかっていることと、副反応のバランスから5年以上たった場合再接種をしてもよいとされています。

ただし、初回接種よりも副反応は強くでる可能性があります。(日本感染症学会 再接種に関するガイドライン

肺炎球菌ワクチンの費用と定期接種の助成について

ひまわり医院での肺炎球菌ワクチンの費用は以下になります。

肺炎球菌ワクチン8000円(税込)

また2023年度までは、以下の方は定期接種の対象になります。

・ 該当する年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる方
・ 60歳から65歳未満の方で、心臓、腎臓、呼吸器が悪く、自分の身の回りの日常生活が極度に制限される方
・ 60歳から65歳未満の方でヒト免疫不全ウイルス(HIV)による障害で日常生活がほぼ送れない方

ただし、すでに「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」を接種したことがある方は、対象とはならないのでご注意ください。(別のタイプの肺炎球菌ワクチンであるプレベナー13 [沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン]は問題ありません)

実際は一部助成が適応されるので自己負担額は各自治体の制度により異なります。江戸川区での助成については、以下のリンクから確認してください。

【江戸川区】高齢者用肺炎球菌ワクチンの予防接種費用一部助成のお知らせ

肺炎球菌ワクチンの副反応は?

肺炎球菌ワクチン接種では接種部位の痛み・赤み・腫れといった局所反応と、筋肉痛、だるさ、発熱、頭痛などの全身の副反応がみられることがあります。

報告されている重い副反応としては、アナフィラキシー様反応、血小板減少、ギランバレー症候群(主に四肢のマヒが生じる疾患)、蜂巣炎様反応などがありますが、非常にまれです。

一番多い副反応は、接種部位の局所反応であり5%以上の方が経験します。他は頻度として5%未満になります。

肺炎球菌ワクチンを打ってはいけない人は?

次の方は接種することができませんのでご注意ください。

・明らかに発熱している方
・重い急性疾患にかかっている方
・ワクチンの成分に対し、アナフィラキシーなど重度の過敏症の既往歴のある方
・上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある方

肺炎球菌ワクチンと他のワクチンとの接種間隔は?

不活化ワクチン(インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンなど): 接種間隔に制限はありません。


新型コロナワクチン: 新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種できません。 新型コロナワクチンとその他のワクチンは、お互い片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます。(厚生労働省HP


他の生ワクチン(BCG、MR[麻疹・風疹ワクチンなど]): 接種間隔に制限はありません。

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【この記事を書いた人】
一之江ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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