肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス®・プレベナー13®)について【値段・効果・副作用】

新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、他のワクチン接種に対しても関心が集まっています。

今回、その中で肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP®・プレベナー13®)について、値段や効果・副作用などを比較しながらまとめました。

肺炎球菌感染症とは?

(肺炎球菌の電子顕微鏡写真:厚生労働省新興・再興感染症事業より転載)

肺炎球菌感染症は、写真のように硬い莢膜に囲まれた「肺炎球菌」による感染症のことです。市中肺炎の原因菌の第一位であるほか(呼吸器学会HP参照)、髄膜炎や中耳炎・副鼻腔炎・関節炎・心内膜炎などの原因にもなります。

実際には、90種類以上の「肺炎球菌」がありますが、重篤な感染症に至るのは数種類です。
肺炎球菌は通常は気道にすみつき、特に冬と春の初めに空気中の飛沫により感染が拡大していきます。

肺炎球菌感染症に特に注意する人は?

特に肺炎球菌感染症が重症化しやすい方は次のような人です。

  • 65歳以上の高齢者の方
  • タバコを吸われている方
  • 長期療養施設に入居している方
  • 手術やもともとの解剖的な理由で脾臓がない方
  • 菌から身体を守る免疫機能が低下している方
  • 慢性的な病気の方(心不全や慢性肺疾患・糖尿病・肝疾患・アルコール依存症の方など)

などです。(詳細はこちら)上記の方は、肺炎球菌ワクチンを早めに接種するとよいでしょう。

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチンには主に「ニューモバックスNP®(23価ワクチン)」と「プレベナー13®(13価結合型ワクチン)」の2種類があります。

ニューモバックスNP®は、23種類の血清型(肺炎球菌のタイプ)に対応したワクチンのこと。肺炎球菌感染症の65-68%の血清型に対応しています。一方、プレベナー13®は13種類の血清型に対応し、血清型カバー率は31%と報告されています。(詳細はこちら

ニューモバックスNP®とプレベナー13®の違いは?

わかりやすいように大雑把に説明すると

  • ニューモバックスNP®の方が、プレベナー13®よりも広い血清型カバー率があり、ニューモバックスNP®のみでも肺炎球菌の予防として推奨される。
  • ただしニューモバックスNP®とプレベナー13®を接種することで、ブースター効果(相乗効果)があり、さらなる予防効果が期待できる。
  • プレベナー13®のみの接種は推奨されず、公費が適応されるのはニューモバックス®だけ(1回限り)

というのが主な違いです。順番に詳しく見ていきましょう。

肺炎球菌ワクチンの効果

ニューモバックスNP®の場合

ニューモバックスNP®により肺炎球菌感染症の発症を45%減少させることが日本の研究で確認されています。(詳細はこちら)海外の先行研究もワクチンの効果は40~70%なので、日本での効果は海外とほぼ同等といえるでしょう。

65歳以上でもワクチンの効果は39%と報告されています。

ニューモバックスNP®は「不活化ワクチン」という菌の一部を不活化(感染力)を失わせて接種する方法です。効果時間としては5年以上といわれています。しかし再接種したほうが効果が高まることがわかっていることと、副反応のバランスから5年以上たった場合再接種をしてもよいとされています。

プレベナー13®の場合

オランダ行われた研究結果では、65歳以上の高齢者にプレベナー13®により肺炎球菌感染症の発症が51.8%減少したと報告されています。(詳細はこちら)ただし、2018 年度の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会において、

  • 日本の大規模臨床試験で65 歳以上の高齢者の効果が立証されていないこと
  • 国内での プレベナー13®で対応する血清型の比率が、むしろ近年低下していること(53%から33%)

などから、プレベナー13®は 65 歳以上の成人を対象とした定期接種ワクチンとしては位置づけないと結論されました。(肺炎球菌ワクチンガイドラインより)今後の臨床試験に期待ですね。

しかし、プレベナー13®とニューモバックスNP®を投与することで相乗効果が期待できるため、同ガイドラインでも併用を認めています。その場合の投与スケジュールは以下の通りに推奨されています。

65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第3版)より転載。
PPSV23はニューモバックスNP®・PCV13はプレベナー13®を指します。

肺炎球菌ワクチンの費用と定期接種の助成について

ひまわり医院での肺炎球菌ワクチンの費用は以下になります。

ニューモバックスNP®8000円(税込)
プレベナー13®12000円(税込)

プレベナー13®は単回接種のみ、ニューモバックスNP®は5年以上あければ再投与できます。

またニューモバックスNP®は、以下の方は定期接種の対象になります。

  • 該当する年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる方
  • 60歳から65歳未満の方で心臓・腎臓・呼吸器が悪く、自分の身の回りの日常生活が極度に制限される方
  • 60歳から65歳未満の方でヒト免疫不全ウイルス(HIV)による障害で日常生活がほぼ送れない方

実際は自己負担額は各自治体の制度により異なります。江戸川区での助成については、以下のリンクから確認してください。

【江戸川区】高齢者用肺炎球菌ワクチンの予防接種費用一部助成のお知らせ

例えば、2021年10月1日から江戸川区では適用される東京都補助事業により、接種する時期によって自己負担額が異なります。

  • 10月~3月:自己負担額1500円
  • 4月~9月:自己負担額4000円

ただし、すでにニューモバックスNP®を接種したことがある方は助成の対象とはならないのでご注意ください。

肺炎球菌ワクチンの副反応は?

ニューモバックスNP®の場合

ニューモバックスNP®では接種部位の痛み・赤み・腫れといった局所反応と、筋肉痛・だるさ・発熱・頭痛などの全身の副反応がみられることがあります。一番多い副反応は、接種部位の局所反応で、5%以上の方が経験します。

報告されている重い副反応としては、アナフィラキシー様反応・血小板減少・ギランバレー症候群(主に四肢のマヒが生じる疾患)・蜂巣炎様反応などですが非常にまれです。(1%未満)

また、初回接種よりも副反応は強くでる可能性があります。(日本感染症学会 再接種に関するガイドライン

プレベナー13®の場合

プレベナー13®では疼痛(49.3%)紅斑(19.6%)腫脹(17.0%)上腕の可動性の低下(16.4%)頭痛(13.2%)筋肉痛(21.6%)疲労(21.0%)が主な副作用になります。

また、稀に報告されている主な副作用はショックやけいれん・血小板減少性紫斑病ですが非常にまれです(1%未満)

肺炎球菌ワクチンを打ってはいけない人は?

以下の方はニューモバックスNP®・プレベナー13®を接種することができませんのでご注意ください。

  • 明らかに発熱している方
  • 重い急性疾患にかかっている方
  • ワクチンの成分に対し、アナフィラキシーなど重度の過敏症の既往歴のある方
  • プレベナー13®の場合)ジフテリアトキソイドの成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方
  • 上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある方

肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP®・プレベナー®と他のワクチンとの接種間隔は?

ニューモバックスNP®・プレベナー13®も不活化ワクチンになります。

そのため他のワクチンとの接種間隔は以下の通りです。

  • 不活化ワクチン(インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンなど): 接種間隔に制限はありません。
  • 新型コロナワクチン: 新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種できません。 新型コロナワクチンとその他のワクチンは、お互い片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます。(厚生労働省HP
  • 他の生ワクチン(BCG、MR[麻疹・風疹ワクチンなど]): 接種間隔に制限はありません。

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【この記事を書いた人】
一之江ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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