亜鉛の効果と亜鉛不足について【症状・摂取量・食べ物・治療】

(2021年8月30日に更新しました)

こんにちは、一之江駅前ひまわり医院です。

・ 近頃抜け毛が気になる
・ 舌がピリピリ痛くて味覚が変
・ 最近、元気がなくなってきたし、肌トラブルも多い

・ 下痢することも多くなってきたし、お腹の調子もわるい
こうした症状の方は、亜鉛が足りないかもしれません。今回は亜鉛欠乏について解説していきます。

亜鉛とは?

亜鉛は人体にとって重要な微量ミネラルの1つです。ミネラルとはmine(鉱石)から由来し、身体を維持するのに必要な5大栄養素の1つ。自分の体では合成できないため、外から摂取する必要があります。

その中でも亜鉛は特に生体内に広く分布しています。60%が筋肉、20 ~30%が骨、8%が皮膚・毛髪、4 ~ 6%が肝臓、2.8%が消化管・膵臓、その他にも腎臓や脳・血液・前立腺・眼などの臓器にも多く存在しています。

生体内の300以上の酵素反応に関与しているといわれており、その効果は全身におよびます。

亜鉛の推奨量と実際の摂取量は?

日本人の亜鉛の推奨量と目安量は以下の通りになります。

(単位mg/日:厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年度版から転載)

成人男性で11mg/日,女性で8mg/日が推奨されています。(妊婦・授乳婦ではそれぞれ2mg/日、3mg/日が追加で必要)しかし、厚生労働省の2019年「国民健康・栄養調査」によると亜鉛の実際の摂取量は20歳以上で9.2mg/日、75歳以上で8.2mg/日と推定されており、推奨量よりも低くなっています。特に妊娠中・授乳中は足りなくなるのが特徴です。

では「亜鉛を多く摂取すればよいの?」というと、単純にそうではありません。上限量が決められています。欠乏している亜鉛を補うために、一時的に多く摂取するのは問題ありませんが、日常的に亜鉛をサプリメントなどで補い続けるのは控えたほうがよいでしょう。その場合、定期的なモニタリングが必要です。(後述します)

亜鉛欠乏(亜鉛不足)の症状は?

① 毛が抜けやすくなる(脱毛症)・皮膚があれやすい(皮膚炎)

皮膚・毛髪には体内亜鉛の約8%が存在しており、さらに皮膚正面のタンパク質の合成に関わっています。
そのため、亜鉛欠乏になると皮膚炎や脱毛につながります

脱毛は毛包周辺の皮膚炎が起こることで、特に頭頂部など、刺激を受けやすい場所に多く出ることがいわれています。

ただし、脱毛症には他にも色々な原因があるので、一概に「脱毛症=亜鉛欠乏」ではありません。診察して疑わしい場合は、亜鉛を含めた血液検査をすることもあります。

② 味覚が変になる(味覚異常)・舌がピリピリする(舌痛症)

舌の上皮細胞には亜鉛が豊富にあります。それは亜鉛が舌の味蕾細胞(味を感じる細胞)を育てるのに必要な栄養素だから。亜鉛が欠乏すると、舌乳頭が平らになり、味を感じにくくなったり舌がピリピリするような異常感覚が生じるようになる可能性があります。

③ 貧血

「貧血=鉄不足」といったイメージが強いかもしれません。しかし、実は亜鉛も酸素を運ぶ赤血球を増やすのに欠かせない栄養素です。特にスポーツ選手や透析患者さんでは、亜鉛欠乏による貧血が多いことが知られています。

④ 食欲不振・下痢

亜鉛が欠乏すると消化管粘膜が萎縮するため、消化液の分泌減少や消化管運動が低下します。また、ひどくなると慢性の下痢を起こすことがあります。亜鉛欠乏から腸粘膜の免疫機能が変化するためとも考えられています。(詳細はこちら

この他にも亜鉛欠乏になると、身体の免疫力が低下したり、身長が伸びづらくなったりすることが報告されています。(日本臨床栄養学会 亜鉛欠乏症の診療指針 2018年による)

(最近、亜鉛不足が新型コロナ感染症の重症化に繋がる可能性を示唆する報告例もありますが、まだ結論は出ていません。国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所でも注意喚起されています)

亜鉛が豊富に含まれている食べ物は?

亜鉛が多く含まれている食べ物としては、牡蠣・いわし・あじなどの魚貝類、豚レバーや牛肉などの肉類、豆腐、納豆、えんどう豆、切干大根、アーモンド、落花生などがあります。

食品群食品名100gあたりの
亜鉛量(mg)
食品の目安重量
魚介類カキ13.21個15g
かたくちいわし7.91食分20g
しらす干し3.0大さじ1杯5g
うなぎ1.41串100g
真さば2.71尾500g
真あじ1.11尾160g
肉類豚レバー6.91人前100g
牛もも赤肉4.01人前200g
鶏レバー3.31人前70g
藻類焼きのり3.61枚2g
わかめ2.81人前10g
野菜類切干しだいこん2.11食分10g
えだまめ1.410さや30g
たけのこ1.31本1kg
豆類納豆1.91個30~50g
焼き豆腐0.81丁300~400g
種類かぼちゃ種7.7大さじ1杯10g
煎りごま5.9大さじ1杯9g
アーモンド3.610粒 14g
煎りくるみ2.61粒 5g
らっかせい2.3殻付き10粒 25g
乳製品プロセスチーズ3.21切れ20g
卵黄4.21個16g

文部科学省 日本食品標準成分表2015年度版より作成)

亜鉛欠乏症(亜鉛不足)の治療は?

実際に臨床症状から亜鉛欠乏の症状が疑われ、食事でも十分効果が期待できない場合
重症度に応じて薬物による補充療法を行うことがあります。

成人だと50mg~150mg/日が目安で投与され、小児の方でも投与される場合があります。
2021年7月現在で保険適応になっている薬は酢酸亜鉛(ノベルジン®錠)です。

ただし、亜鉛は取りすぎてもよくありません。なぜなら、銅とのバランスを保ちながら亜鉛は取り込まれているので、漫然に投与すると血清の銅が下がりすぎることがあるからです。

そのため、ノベルジン®錠製品情報によると、以下の使用上の注意点が明記されています。

【ノベルジン®使用上の注意点】
・ 食事による亜鉛摂取で十分効果が期待できないときに使う
・ 食後に投与すること(空腹時だと胃痛や胸やけなどを起こすことがある)
・ 亜鉛濃度の確認を開始時や用量を変える時に行うこと
・ ノベルジン®を漫然と投与しないこと
・ 血清銅濃度が低下する可能性があるため、血清銅を定期的に確認することが望ましい

ひまわり医院でも上記ガイドラインにのっとって、適正にモニタリングさせていただきます。

まとめ

今回は亜鉛欠乏について解説いたしました。
意外と見逃されやすいのが亜鉛欠乏です。亜鉛はさまざまな身体の反応に関わる大切なミネラル。
「あてはまりそうかな?」と思った方は、ぜひ当院ひまわり医院にご相談ください。

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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