(*この記事は2021年4月4日に更新されました)
中国武漢から発生し、世界中で猛威をふるっている感染症である、新型コロナウイルス感染症。
感染症拡大を防止するために、ワクチンだけでなく、PCR検査・抗原検査・抗体検査などさまざまな検査が開発されてきました。
この記事では、「抗体検査とよく聞くけど、他の検査と何が違うのかわからない」という方のために、当院で行われている抗体検査についてわかりやすく解説していきます。
目次
新型コロナウイルス抗体検査とは

そもそも「抗体」とはなんでしょうか。
一言でいうと、「抗体=ウイルスと戦うために免疫細胞が作ったミサイル」のようなものと考えるとよいでしょう。
免疫とは、身体が本来持っているウイルスや細菌と戦う力のこと。
大きく「自然免疫」と「獲得免疫」に分けられます。
自然免疫はウイルスの種類に関わらず対抗することができますが、ウイルスを限定していない分対抗力は弱まります。なぜなら、ウイルスかどうかを識別する力が弱いからです。ですから、同じウイルスにかかったとしても免疫能が強くなることはありません。
一方、獲得免疫は、ウイルスの一部を取り込み記憶することで、同じウイルスにかかった場合より強く排除することができます。この識別するマーカーのことを「抗体」と呼びます。
抗体の種類はいろいろありますが、ウイルス感染症の場合、検査で用いられる抗体は主に「IgM」(アイジーエム)と「IgG」(アイジージー)です。
「IgM」は細菌に感染した時に一番最初に作られる抗体です。発症してから1週目の中頃から後半に生成が開始され、検査で検出可能になるのは発症後2週目頃からとされています。
「IgG」はIgMが生成された後に生成され始めます。一度生産されはじめると、比較的長期間持続されるとされており、その期間は数ヶ月〜数年とウイルスによって異なります。(大体6か月から数年とされています)
新型コロナウイルス抗体検査では、新型コロナウイルスの抗体がどれくらいあるかを調べることで、「IgM =現在の感染」「IgG = 過去にかかった感染」を調べることができます。
新型コロナウイルス抗体検査キットについて

ごく少量の静脈から採血か、マイクロブラッドといって、指先から極細の針をもちいて採血し(採血の場合0.5ml, マイクロブラッドの場合 20μL)判定します。
今回使用するキットは、大手製薬会社の塩野義製薬と微量血液を扱うマイクロブラッド社で販売されたキットで、IgG抗体の感度特異度は、発症3週間時点で感度94%、特異度99%になります。
感度とは、検査して「正しく陽性(感染している)と分かる割合」のこと。感度94%ということは、100人感染者がいるとして、検査で94人が陽性と分かります。
特異度とは、検査して「正しく陰性(感染していない)と分かる割合」です。特異度99%ということは感染していない人が100人いるとして、検査で99人が陰性と分かります。
ですので、IgG抗体が3週間以降に陽性の場合、「非常に高い確率で過去にコロナウイルス感染症にかかっている」ことを示します。ただし、変異株のこともあり、「絶対に新型コロナウイルスにかからない」というわけではありません。
結果の解釈については、採取いただいた上で、改めてご説明いたします。
(厚生労働省による抗体検査の解釈はこちら)
Q & A
Q: 抗体検査の費用はどれくらいかかりますか?自費ですか?
A:現在症状がない方に限定して行わせていただいておりますので、自費になります。
価格は診察料・判断料込みで9000円です。
Q: 抗体検査はどれくらいで結果が出ますか?
A: 採取してから10分くらいで結果が出ます。結果説明についてもお早めにお話いしいたします。
あわせて読んでいただきたい記事はこちら
① 自費の新型コロナウイルス唾液PCR検査について
② 新型コロナウイルス感染症について【症状・臨床経過・濃厚接触】
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