口内炎の原因や薬と治し方・ビタミンについて解説【何科に受診?】

食事や会話のたびに「ズキッ」と走るあの痛み。みなさんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

「たかが口内炎」と軽く見てしまいがちですが、食事のたびに痛みが走ると日常生活にも大きな支障が出て、本当に憂鬱な気持ちになりますよね。

実は、口内炎は単なる「口の中の荒れ」にとどまらず、私たちの全身の健康状態や生活習慣を映し出す鏡のような存在であることが、最新の研究で明らかになってきています。

今回は、最新医学論文や大規模な調査データをもとに、口内炎の本当の原因から、1日でも早く治すための最先端の治療法、ビタミンや何科に受診した方がよいかまで、わかりやすく解説していきます。

口内炎とは?

口内炎とは、文字通り「口の中の粘膜に起こる炎症」の総称です 。頬の内側や舌、唇の裏側など、口の中のあらゆる場所にできる可能性があり、赤く腫れたり、白くえぐれたような潰瘍(かいよう)になったりして、強い痛みを伴います

実はこの口内炎、特定の地域や年齢層だけのものではなく、世界人口の平均して約20%から25%もの人が罹患していると推計されている、非常に身近な疾患です。

特定の民族や社会経済グループを対象とした調査では、なんと最大で66%の人に口内炎が認められたという報告もあるほどです 。およそ4人から5人に1人は口内炎に悩まされている計算になりますから、みなさんが頻繁に口内炎に悩まされているとしても、決して珍しいことではありません。

では、なぜ口の中の粘膜がこのように傷ついてしまうのでしょうか。

近年の研究により、口内炎は単一の原因で起こるものではなく、免疫のバランスの乱れ、遺伝的な体質、ホルモンの変動、栄養不足、そして口の中の細菌のバランス(マイクロバイオーム)の乱れなど、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症することがいわれています。

中でも病態の核心とされているのが、「免疫の過剰反応」です 。アレルギーや物理的な刺激、細菌感染などをきっかけとして、本来は私たちの体を守るはずの免疫細胞(細胞傷害性T細胞など)が過剰に働き、誤って自分自身の口の中の粘膜細胞を攻撃して破壊してしまうのです 。その結果、粘膜が欠損し、フィブリンと呼ばれるタンパク質で覆われた白くて痛い潰瘍が出来上がります。

さらに、遺伝的な影響も大きく、口内炎を繰り返す患者さんの約24%から46%には、家族にも同じように口内炎ができやすい人がいる(家族歴がある)ことが分かっています 。特定の遺伝子(HLA-B51など)を持っていると、炎症が重症化しやすい傾向にあるといわれています。

(参照:The prevalence of oral aphthosis in a normal population in Iran: a WHO-ILAR COPCORD study. Arch Iran Med. 2008 Mar;11(2):207-9.

口内炎の種類と原因は?

一口に「口内炎」と言っても、その見た目や原因によっていくつかの種類に分けられます 。最も一般的なものから、他の病気が隠れているものまで、代表的な種類をご紹介しましょう。

① アフタ性口内炎(再発性アフタ性口内炎:RAS)

口内炎の中で最も頻度が高く、みなさんが一番よく経験するのがこのタイプです 。円形や楕円形をしており、表面が白や黄色の膜(偽膜)で覆われ、その周りが赤く縁取られているのが特徴です 。このアフタ性口内炎は、さらに大きさや症状によって3つのタイプに細分化されます。

  • 小アフタ:全体の約80%を占める最も一般的なタイプです 。直径は10mm未満で、通常は7日から10日程度で痕を残さずに自然と治ります。
  • 大アフタ:全体の10%から15%程度に見られます。直径が10mm以上と大きく、えぐれ方も深いため、激しい痛みを伴います 。治るまでに2週間から長くて6週間ほどかかり、治った後に瘢痕(傷跡)が残ることもあります 。
  • 疱疹状アフタ:全体の5%から10%と比較的珍しいタイプです。1mmから3mm程度の非常に小さな潰瘍が、一度に数十個から100個ほど多発し、それらがくっついて大きな潰瘍になることもあります 。

② カタル性口内炎(外傷性口内炎)

アフタ性口内炎が「白い口内炎」と呼ばれるのに対し、こちらは粘膜全体が赤く腫れ上がるため「赤い口内炎」とも呼ばれます 。

主な原因は、合わない入れ歯や欠けた歯の鋭い部分が当たる、食事中に頬を噛んでしまう、熱い食べ物でやけどをするなど、物理的・化学的な刺激です 。ヒリヒリとした痛みが特徴ですね。

③ ウイルス性口内炎

単純ヘルペスウイルスによる「ヘルペス性歯肉口内炎」や、コクサッキーウイルスによる「手足口病」「ヘルパンギーナ」などがこれに該当します。ウイルス感染が原因のため、発熱や強いだるさを伴うことが多く、口の中にたくさんの小さな水ぶくれができ、それが破れて痛い潰瘍になります。

④ カンジダ性口内炎

口の中に元々いる常在菌の1つである「カンジダ」という真菌(カビの一種)が異常に増殖して起こります 。ステロイド薬の長期使用や高齢による免疫力の低下、唾液が減ってお口の中が乾燥することなどが原因と考えられています。よく喘息で吸入ステロイドを吸って、うがいをしない場合などもカンジダ性口内炎ができることがありますね。

口の中に白い苔のようなものができ、ガーゼなどで拭き取れるのが特徴です。

⑤ 全身疾患に関連する口内炎

なかなか治らない口内炎が何度もできる場合、背景に全身の病気が隠れていることがあります 。代表的なものとして、ベーチェット病や、クローン病・潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患などが挙げられますね。

特に免疫力が著しく低下する病気では、重症の大アフタが好発することが知られています 。

口内炎のできやすい場所は?

口内炎の最も多い「アフタ性口内炎」の場合、口内炎は口の中ならどこにでもできる可能性がありますが、実は種類によって「できやすい場所」に違いがあります 。これには、口の中の粘膜の構造(解剖学的な特徴)が深く関わっていると考えられています。

私たちの口の中の粘膜は、大きく分けて「非角化粘膜(ひかくかねんまく)」と「角化粘膜(かくかねんまく)」の2種類があります。

小アフタや疱疹状アフタといった一般的な口内炎は、圧倒的に「非角化粘膜」に多く発生します。具体的には、唇の裏側、頬の内側、舌の横側(側縁)、歯ぐきと頬の境目の部分などです。

この非角化粘膜は、よく伸び縮みして柔らかいという特徴がある反面、物理的な刺激に対する強度が弱いという弱点があります 。そのため、硬い食べ物を食べたり、歯ブラシが強く当たったり、無意識に噛んでしまったりすることで、目に見えないレベルの微小な傷(マイクロトラウマ)がつきやすいのです 。この小さな傷が引き金となって、先ほど説明した免疫の過剰反応が起こり、口内炎へと発展してしまいます。

一方、大アフタになると、非角化粘膜だけでなく、上あご(口蓋)や舌の背中側、歯ぐきの上の方といった、硬くて丈夫な「角化粘膜」にもできることがあります。

もし、この硬い角化粘膜の部分に何度も口内炎ができる場合や、口の中だけでなく皮膚や他の粘膜にも水ぶくれなどがある場合は、単なる口内炎ではなく、ヘルペスウイルス感染症や自己免疫による別の病気の可能性も考えられるため、注意が必要です

口内炎の薬や治し方は?

口内炎を早く治す治し方は、「早く口内炎の原因を知り、適切に薬を使うこと」につきます。

例えば、アフタ性口内炎の場合は口内炎周囲の環境を整えてあげることが一番なので、「周囲の粘膜を保護しながら炎症を抑え、全身の状態も整える」といった感じですね。

具体的な口内炎を早く治すための薬や治し方については以下の通りです。

口内炎ができてしまったら、とにかく「早くあの痛みから解放されたい」と思うのが人間の心理ですよね。口内炎で使用される薬や治療法についてご紹介します。

① 清潔と保湿、うがい薬

まず何よりも大切なのは、口の中を清潔に保つことです。炎症が起きている場所は細菌が繁殖しやすく、それが治りを遅らせる原因になります。刺激の少ないうがい薬や生理食塩水でこまめにうがいをし、食べカスが残らないようにしましょう。 また、お口の乾燥は粘膜のバリア機能を低下させます。水分をこまめに摂り、粘膜を湿らせておくことが、自己治癒力を高める基本となります。

薬としてはうがい薬が使われることがありますね。うがい液と聞くと茶色い「ヨード」のうがい液を思い浮かべると思いますが、口内炎で使われるのは炎症を抑える成分が含まれているうがい液です。

また、化学療法による口内炎の方などは、局所麻酔が含まれるようなうがい液を使用することもあります。カンジダ菌が原因の場合は、抗真菌薬のうがい薬が使用される場合があります。

② ステロイド軟膏の活用

現在、最も一般的で確実な治療法とされているのが、ステロイド軟膏(トリアムシノロンアセトニドなど)の塗布です。

これは炎症を直接抑える「ゴールドスタンダード(標準的な最良の治療)」として広く普及しています。 従来、これらの薬を使用した場合、治癒までには平均して8.0日~9.6日程度かかるとされています。患部を保護する「パッチ(貼り薬)」タイプも有効で、薬が唾液で流れるのを防ぎ、食事の際の物理的な刺激から守ってくれるため、痛みの緩和に即効性があります。

③ 内服薬

鉄欠乏性貧血やビタミン・亜鉛不足により口内炎が繰り返す場合は、内服薬でコントロールする場合があります。また、口腔内ヘルペスの場合は抗ウイルス薬が必要になることもありますし、カンジダ性口内炎の場合には特殊な抗真菌薬をつかうこともあります。

また、口内炎がどうしても治らない難治性の場合は、ステロイドやコルヒチンなどの特殊な薬を使うこともありますね。

④ 歯の治療や外科手術など

口内炎の原因によっては、歯の矯正や入れ歯の素材の入れ替えなど、歯の治療が必要になるケースがあります。また、前述のような口腔内の悪性疾患の場合も、外科手術などが必要になるケースも。その場合は、歯科・口腔外科と連携しながら治療を行っていきます。

⑤ 新しい治療技術も開発されています

近年では、これら従来の方法に加えて、さらに治癒を早める高度な技術も登場しています。例えば、「低出力レーザー治療(LLLT)」や「非熱プラズマ(NTP)治療」です。 これらは特殊な光やプラズマを患部に当てることで、細胞の修復スピードを飛躍的に高めることができます。

研究データによれば、従来の薬では8日以上かかっていた治癒期間が、これらの治療によって平均2.5日から3.0日まで短縮されたという報告があります。

すぐに痛みを取りたい場合の非常に強力な選択肢となりつつあるのですが、レーザー治療を行っているのは歯科口腔外科を標榜する一部のクリニックだけなので注意が必要です。

(参照:Oral Aphthous: Pathophysiology, Clinical Aspects and Medical Treatment

口内炎に有効なビタミンは?

「口内炎にはビタミンが良い」という話は、単なる言い伝えではありません。近年の大規模なデータ解析により、特定の栄養素を補給することが、極めて高い治療・予防効果を持つことが証明されています。

特に注目されているのがビタミンB12です。1,534名を対象とした16件の臨床試験をまとめたデータによると、ビタミンB群を投与されたグループは、そうでないグループに比べて、治療の有効率がなんと5.24倍も高く、さらに再発する確率が約80パーセントも減少したことが明らかになりました。

潰瘍の治癒に要する日数は平均で2.15日短縮され、総治療期間も2.31日短縮されたということで、口内炎にはなかなか有効な治療法ですね。

また、細胞の修復に欠かせない亜鉛も重要です。臨床試験では、亜鉛を含むタブレットを患部に使用することで、痛みが減り、治るまでの期間が短縮されることが確認されています。

亜鉛については亜鉛不足の原因や症状・摂取量の目安について【食べ物や治療薬も】も参照してください。

(参照:Clinical efficacy of vitamin B in the treatment of mouth ulcer: a systematic review and meta-analysis

口内炎は何科に受診すべきか?

では、口内炎は何科に受診すべきなのでしょうか。基本的には「歯科口腔外科、耳鼻科、皮膚科、内科」あたりが選択肢になります。それぞれの特徴は以下の通りです。

  • 歯科・歯科口腔外科 :歯ぐきや頬の粘膜、舌にできた場合に適しています。鋭い歯の角が当たっているなどの物理的な原因を直接解決してくれます。
  • 耳鼻咽喉科: 喉の奥の方にできた場合や、つばを飲み込むのが辛いといった症状がある時に適しています。
  • 皮膚科・内科: 口の中だけでなく皮膚にも症状がある場合や、発熱、全身のだるさを伴う場合はこちらを受診しましょう。

特に、3週間以上経っても治らない、あるいは患部が硬くしこりのようになっている場合は、単なる口内炎ではなく別の重大な病気の可能性もあるため、早急に専門医を受診してください。

口内炎の食べ物や生活のポイントは?

① 口の刺激が強いものは取らない

以下のようなものは、口の刺激が強く、口内炎を作りやすい原因になるので注意が必要です。

  • 辛い食べ物:唐辛子やマスタード・ワサビなど
  • 熱い食べ物:口の中をやけどさせている可能性があります
  • 塩辛い食べ物: 味付けが普段濃い方は特に注意が必要です
  • 酸性の強い食べ物:パイナップルやグレープフルーツ・オレンジ・いちごなど
  • その他:チョコレートやコーヒー・ナッツ・チーズなどで口内炎を発症するケースも報告されています

個人によって過敏症になっている食べ物は異なります。金属アレルギーの方は特定の食べ物を避けた方がよいケースも。個人個人によって異なりますので、ぜひご相談ください。

② ビタミンB群や葉酸をとる

特に、ビタミンB2やB6・葉酸は粘膜の再生を促すビタミン群としても知られています。ビタミンB2やB6が含まれている食べ物としては以下の通りです。

  • ビタミンB2が多く含まれている食べ物:レバー・青魚・干ししいたけ・アーモンド・海苔など
  • ビタミンB6が多く含まれている食べ物:レバー・魚・にんにく・ドライバナナ・ごま・海苔・玄米など
  • 葉酸が多く含まれている食べ物: レバー・ブロッコリー・えだまめ・ほうれん草・海苔・ごま・きなこなど

「口内炎ができやすい」と感じる方は、生活習慣の中で取り入れやすいものを入れていくとよいですね。

③ 鉄分や亜鉛などのミネラルも忘れずに

鉄欠乏性貧血の場合や亜鉛不足の場合も口内炎ができやすい原因になります。どちらも不足しやすい栄養素の1つなので、積極的にとっていきたいですね。代表的な食事の内容などは

を参照してください。過剰摂取も体に影響が出るので、サプリメントで補う場合は、定期的に血液検査でチェックするようにしましょう。

④ 口の中の衛生状態をキレイに保つ

  • 虫歯がある
  • 歯並びが悪い
  • 接触が悪い入れ歯がある

など、歯と口内炎の関係はもちろん密接です。食後に定期的にブラッシングをし、1日1回デンタルフロスや歯間ブラシを使うようにしましょう。口内炎を繰り返す方は歯科口腔外科にもぜひ受診してみてください。

また、ラウリル硫酸ナトリウムを含む歯磨き粉やうがい薬は、過敏症による口内炎を誘発する可能性があります。口内炎を繰り返す方は控えるようにするとよいでしょう。

⑤ 生活リズムを整え、ストレスを減らす

口内炎の原因にも書きましたが、生活のリズムの乱れや睡眠状態・ストレスを普段から減らすことは、口内炎の予防に多いに役立ちます。

ストレスがない生活というのは困難ですが、安定したリズムを整えることはとても大切です。睡眠障害がある方は、不眠症・睡眠障害について解説【眠れないあなたへ】も参考にしてください。

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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