新型コロナウイルス変異株「デルタ株」について【感染力・潜伏期間・ワクチンの効果】

こんにちは、一之江駅前ひまわり医院です。

2019年より世界中で大流行している新型コロナウイルス感染症。その流行の原因の1つとしてあげられるのがさまざまな変異株の存在です。

今回は、その中でも日本で注目されているデルタ株を中心にわかりやすく解説していきます。

変異株とは?

ウイルスに限らず全ての生物で、遺伝子をコピーする過程で一部読み違えや組み換えが起こり、遺伝情報が一部変化することがあります。これを「突然変異」といいます。

この中で、新しい性質をもった子孫ができることがあります。この子孫のことを「変異株」といいます。性質が違うだけで同じウイルスのバリエーションに過ぎないので、ウイルスの名称を変えずに呼称されます。(ちなみに変異「種」というと、全く新しい生物ということになるので誤りです。日本感染症学会でも注意喚起しています[詳細はこちら])

新型コロナウイルス変異株はギリシャ文字「α(アルファ)・β(ベータ)・γ(ガンマ)・Δ(デルタ)…」と順に名称がつけられています。数ある変異株の中でも特に日本で流行が起こっている、デルタ株の特徴を見ていきましょう。(2021年8月時点)

デルタ株の感染力・伝染性は?

インドから広がったデルタ株は世界中に広がっており、2021年5月11日にWHOが「注視すべき変異」と位置付けました。

日本でもデルタ株への置き換わりが進んでいます。国立感染症研究所感染症疫学センターの解析(2021年7月27日時点)によると、陽性者の中でデルタ株変異がある割合は、関東地方で75%、関西地方で32%と推定されています。(第45回厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料による)

(CDCの報告書をもとに作成

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の報告によると、従来の新型コロナの2倍以上の伝染性があることが確認されました。デルタ株を他の感染症と比較すると、季節性インフルエンザや一般的な「かぜ」よりも感染力は強く、空気感染する水痘と同等レベルの可能性があり、より一層の感染対策が必要といえるでしょう。

ただし、CDCの報告でも2021年8月時点で明確に空気感染と示唆されているわけではないので、注意が必要です。新しい情報が入り次第、随時アップデートしていきます。)

デルタ株の潜伏期間は?

査読前の中国のグループの研究では(元論文はこちら)デルタ株がウイルスが検出されるまでの期間が、従来の新型コロナウイルスと比較して約2日短くなると考えられています。

従来の新型コロナウイルスでは潜伏期間は5日なので、3日くらいで陽性になってくるということになります。その背景として、従来のコロナウイルスよりも感染者の体内のウイルス量が1000倍以上多くなることが示されています。

また別の査読前研究では(詳細はこちら)ウイルスを排出する期間も長くなる可能性も示唆されており、感染力の高さにつながるといえます。

デルタ株は重症になりやすい?

結論から言えば、デルタ株のほうが重症になりやすいといえます。

査読前のカナダのグループの研究では、従来の新型コロナウイルスと比較して、入院リスク・ICU入室リスク・死亡リスクが、それぞれ2.2倍 (1.93-2.53倍)・3.87倍 (2.98-4.99倍) ・2.37倍 (1.50-3.30倍)上昇と増加していました。(詳細はこちら

また、8月27日The Lancet Infectious Diseasesに発表されたイギリスの大規模な43338人の臨床研究では、アルファ型変異株と比較しても救急外来受診や入院のリスクが増す(14日以内の救急外来受診:1.45倍, 14日以内の入院:2.26倍)ことが示唆されています。

ここから変異株であるアルファ株と比較しても、デルタ株はより一層の重症化リスクは高いといえます。

デルタ株に対するワクチンの効果は?

そこで気になるのは、「デルタ株もワクチンの効果はあるの?」ということではないでしょうか。

CDCの発表では、「各研究では感染予防効果は64-87%で推移しており、ワクチンはデルタ株を含めて非常に効果的である」としています。

(CDCの報告書をもとに作成)

上記結果はファイザー製のワクチンを使用した結果ですが、各研究でのワクチンの効果は「感染予防効果は64-87%、重症化への効果は93-100%」という結果になりました。インフルエンザワクチンなどと比べると予防効果は高いといえますね。(インフルエンザワクチンの発症予防効果はこちらを参照

しかし、

  • 従来株よりもワクチンの効果はやや落ちていること
  • 感染力の強さや重症化になりやすさは従来株よりも強いこと

から、より一層の感染対策が必要であるといえるでしょう。CDCでもマスク含めた感染対策の徹底をうながしています。「ワクチンを打てば大丈夫」と過信せずに「ウイルスを体内に侵入させない」心構えがが大切です。



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【この記事を書いた人】 

一之江ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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